財産開示の実務と理論

勝訴を無駄にしないための三段活用
本体 ¥ 4,800
¥ 5,280 税込

著者:小栁茂秀/著
判型:A5判
ページ数:484頁
発刊年月:2013年8月刊
ISBN/ISSN:9784817841063
商品番号:40518
略号:財開

入荷待ち

商品情報



「財産開示は使いづらい制度」!?
関係するすべての実務家・研究者の方へ「知る人ぞ知る一手」を伝授!

■本書が提案する三段活用

第一段階 現行制度を活用
●手続の手引
 全体の流れ、詳細な手続と必要書類について、初心者でもわかるよう図解により丁寧に解説。
●財産開示を有効活用するためのヒント
 「開示期日における上手な質問・下手な質問」等、著者自身や情報提供者(弁護士)の実体験等を踏まえた、手続活用に役立つアイデアを紹介。
●参考資料・書式
 参考資料と書式41点をポイント解説とともに掲載。参考となる各国の条文も紹介。

第二段階 より実効性を高めるため、現行制度を新たな法解釈の下で運用
●現行法の通論
 理論に踏み込み、現行制度を最大限に活用する方法を検討。
●裁判例
 リーディングケースとなる裁判例7件につき、著者独自の評釈も加えながら、制度の不備と活用方法について紹介。
●実例集
 「財産開示の結果に基づき債権を回収した事例」「財産開示を契機に和解等により債権回収した事例」等、実務の参考となる45事例を紹介するとともに、独自の分析を加えた上で整理。

→初心者に向けた目線で、具体的な手続方法を、実務を意識して解説。

第三段階 実効性を最も向上させる「改正」に向けた提言
●展望~発展に向けた提言
 諸外国(独・韓・米・仏)の制度と、日本の制度(立法経緯から統計資料に基づく現状分析まで)を紹介し、改正に向けて提言。

目次

序章1
1 意義
2 活用場面~どういう時に利用するのか
3 プライバシーとの調和
4 喫緊の課題
5 本書が提案する三段活用
第1章手続の手引
一手続の概略
1 手続の構造
2 手続の全体像~図解
二申立手続
1 管轄
2 申立権者
3 代理人
4 当事者複数のケース
同一の債務名義に複数の債務者が記載されている場合
債務名義が複数の場合
債権者が複数の場合
5 申立書
6 当事者目録
7 債権目録
8 1号と2号の区別
9 申立ての添付書類
1項及び2項に共通する添付書類
債務名義に基づく場合
一般の先取特権に基づく場合
10 必要性に関する証拠書類
1号要件
2号要件
ア疎明責任
イ疎明資料
ウ補正命令への対処法
11 再施制限
12 申立費用等
三破産手続等との関係
1 破産手続・会社更生手続と財産開示手続
2 民事再生手続・特別清算手続と財産開示手続
四実施決定又は却下決定の告知
1 申立人への告知
2 債務者への告知
3 債務者への送達の諸問題
移転届をしていない場合
就業場所が分かっている場合
送達場所が不明の場合
五異議申立て等
六財産開示の実施
1 財産開示期日の指定及び告知等
開示義務者及び申立人の呼出し
財産目録
期日の変更等
2 財産開示期日における手続
非公開の原則
開示義務者が出頭した場合(宣誓及び陳述)
開示義務者が不出頭の場合
申立人が不出頭の場合
受命裁判官等による実施
通信等による陳述
3 陳述義務の範囲及び内容
4 陳述義務の一部免除
5 質問権
七財産開示手続の終了
1 目的の達成
2 目的の不達成
3 取下げ
4 債務者の死亡
5 破産手続等の開始
八財産開示期日以後
1 調書の作成
2 記録の閲覧・謄写等
3 情報の目的外利用の制限
九罰則
1 法的性格及び管轄等
2 開示義務者に対する罰則
3 過料の制裁の発動~申立人による上申
4 申立人等に対する罰則
5 審理手続及び裁判
6 裁判の告知及び不服申立て
7 過料の執行
第2章財産開示手続を有効活用するためのヒント
1 出頭の確保
2 財産目録の活用
3 質問事項書
4 質問
質問に関する期日の流れ
上手な質問・下手な質問
過去の財産について
実施決定通知後の処分行為
5 示談
6 不出頭の場合
7 財産開示請求を受けた場合の対処法
原則的対応
対抗手段
終局的な解決
第3章現行法の通論
一基本的性質
1 準備的執行手続
2 非訟的性質
3 民事訴訟法との関係
4 強制力の欠如
二実施決定(法197条1項及び2項の要件解釈)
1 法197条1項
? 金銭債権を有する債権者? 執行力のある債務名義? 除外される債務名義? 執行開始要件? 阻害事由がないこと
2 同条2項
? 一般の先取特権を有する者? 証明文書? 弁済期の到来
? 阻害事由がないこと
3 必要性
1号要件
ア1号要件が規定された趣旨
イ1号における論点
ウ学説の概要
限定説
非限定説
折衷説
折衷説の問題点
限定説の問題点
非限定説の問題点
エ6か月要件
2号要件
ア2号要件の意義(趣旨)
イ2号における論点
ウ「知れている財産」に関する高等裁判所の判断
エ探索必要説の問題点
オ探索不要説
「知れている財産」の意義
2号の疎明義務
「通常行える程度の調査」の内容
「通常行える程度の調査」の具体的検討
特別の事情の判断
判断基準と実務の現状
1号の論点と2号の論点との関係
二重の基準論
ア二重の基準論の必要性
イ二重の基準論のバリエーション
ウ革新的二重の基準論
エ1号類推的二重の基準論
オ緩やかな二重の基準論
カ本書の立場
三実体的異議事由と法的救済手段
1 一般的な実体的異議事由について
2 権利濫用について
四複数当事者の問題点
1 債務者が複数の場合
2 債権者が複数の場合
併合して申し立てた場合
1号の申立人の範囲
2号の疎明共通(第三者の資料)
第三者の資料の疎明力
五他の法制度との関係
1 他の強制執行手続と財産開示手続
執行中の財産開示
請求債権額の記載方法等
2 取立訴訟と財産開示手続
3 家事事件手続法の債務者財産探知手続
第4章裁判例
申立権者
1号要件の「配当等」の意義
2号要件の「知れている財産」の意義その1
2号要件の「知れている財産」の意義その2
2号要件の疎明の程度その1
2号要件の疎明の程度その2
2号要件の疎明に対する反証~債務者が執行抗告をした事案~
第5章実例集~著者が集めた事例の紹介~
一はじめに
1 調査の概要
2 表記方法等
3 【コメント】について
二事案の紹介
◆ 事例?1 H16前橋地裁結論◎ 非限定説又は折衷説
◆ 事例?2 H16前橋地裁結論△ 2号適二重論
◆ 事例?3 H17札幌地裁結論○ 2号適
◆ 事例?4 H18千葉地裁結論× 2号適
◆ 事例?5 H19福島地裁白河支部結論◎ 限定説2号適二重論
◆ 事例?6 H19岡山地裁結論○ 2号適
◆ 事例?7 H20横浜地裁横須賀支部結論△ 2号適
◆ 事例?8 H20岡山地裁倉敷支部結論◎ 限定説2号適二重論
◆ 事例?9 H20横浜地裁結論× 限定説2号適
◆ 事例?10 H20東京地裁結論○
◆ 事例?11 H20岡山地裁結論◎
◆ 事例?12 H21東京地裁結論× 限定説2号厳
◆ 事例?13 H21福島地裁会津若松支部結論○ 2号適
◆ 事例?14 H21東京地裁結論○
◆ 事例?15 H21京都地裁結論○ 2号適二重論
◆ 事例?16 H21京都地裁結論○ 2号適二重論
◆ 事例?17 H21札幌地裁結論◎ 2号適
◆ 事例?18 H21仙台地裁結論△ 非限定説
◆ 事例?19の? H21東京地裁結論○
◆ 事例?19の? H21東京地裁結論○
◆ 事例?19の? H21東京地裁結論○ 2号適
◆ 事例?20 H21名古屋地裁結論△ 非限定説
◆ 事例?21 H21福島地裁いわき支部結論○ 2号適
◆ 事例?22 H21広島地裁結論× 限定説2号適二重論
◆ 事例?23の? H21岡山地裁結論△ 2号適
◆ 事例?23の? H21岡山地裁結論△ 2号適
◆ 事例?24 H21札幌地裁結論△ 限定説2号厳
◆ 事例?25 H21さいたま地裁川越支部結論× 限定説2号適
◆ 事例?26 H22京都地裁結論○
◆ 事例?27 H22京都地裁結論○ 2号適二重論
◆ 事例?28 H22京都地裁結論○ 2号適二重論
◆ 事例?29 H22富山地裁結論△ 非限定説又は折衷説
◆ 事例?30 H22さいたま地裁結論△ 限定説2号適
◆ 事例?31 H22札幌地裁結論△ 2号厳
◆ 事例?32の? H22東京地裁結論○ 限定説2号適
◆ 事例?32の? H22東京地裁結論△ 限定説2号適
◆ 事例?33 H22横浜地裁結論○ 限定説2号適二重論
◆ 事例?34 H22名古屋地裁結論○
◆ 事例?35 H22大阪地裁結論○ 限定説2号適
◆ 事例?36 H23東京地裁結論× 2号適二重論
◆ 事例?37 H23長野地裁結論△ 2号適
◆ 事例?38 H23前橋地裁結論× 2号適
◆ 事例?39 H23東京地裁結論○
◆ 事例?40 H23宇都宮地裁結論○ 非限定説
◆ 事例?41 H23高松地裁結論○ 2号適
三調査結果の整理と分析
1 奏功率
2 出頭率と奏功率(個人と法人の比較)
3 申立て前に強制執行を実施した事例
4 1号と2号の分類(限定説・非限定説)
5 申立てから実施決定までの期間(1号と2号の比較)
6 2号における必要性の判断
探索不要説の適合性
二重の基準論を用いている可能性
7 請求債権額の多寡
8 年度別傾向
9 大都市と地方
10 当事者が複数の処理
第6章諸外国の財産開示
一ドイツ
1 日本の財産開示手続の手本とされたドイツ法
2 歴史的変遷
執行手続における財産開示の位置づけ(最後の手段から最初の手段へ)
裁判官から司法補助官,さらに執行官へ(管轄の移管)
3 財産開示
開始要件
猶予期間
再施制限
財産目録の作成及び管理
開示の対象
平和的な解決
刑事罰
債務拘留
4 債務者名簿
登載原因の改正
登録事項
異議・抹消
閲覧・複製の付与
実情と効果
電子化と集中化
5 財産照会(執行官の情報取得権)
開始要件(財産照会の補充性)
照会先及び照会事項
情報の通知
罰則規定
6 住所照会手続
7 動産執行の現場における執行官による質問
二韓国
1 相次いで改正を進める韓国
2 財産明示
財産明示の補充性
開始要件(韓民執法61条・62条)
債務者の利益保護
再施制限
期日の指定及び延期
財産目録
質問権
終了
実績
3 監置と刑事罰
監置の導入
監置決定と取消
実情
4 債務不履行者名簿
手続の概要
名簿の閲覧等
合憲性をめぐる裁判
抹消
5 財産照会
導入の経緯
開始要件
照会先及び照会事項
回答義務と違反罰
目的外利用の禁止
電子照会システム
6 家事事件への広がり
三アメリカ
1 多種多様な手段を持つアメリカ法
2 判決後ディスカヴァリ
概要
質問状手続
文書提出手続
判決後ディスカヴァリの目的
実効性の担保のための制裁
3 補充手続
尋問手続の概要
質問の範囲
逮捕・勾引手続
実効性担保のための制裁
4 第三者機関に対する質問(照会)
ディスカヴァリ及び補充手続における場合
ガーニッシュメントとの関係
民間の信用機関の利用
5 不動産に関する情報
6 その他の州法
四フランス
1 財産照会が発達したフランス法
2 執行士制度
3 1991年改正法以前における執行手続の端緒
4 1991年改正法(旧仏民執法
概要
例外的に執行士が直接獲得できるとされた情報
5 2010年改正法(新仏民執法)
主体等に関する法改正
手続の主体及び照会のための要件
照会先及び照会事項
照会拒否への対応策及び目的外利用の禁止
実情及び問題点
6 財産開示手続の不存在
7 手厚く保護されている扶養料等
8 フランスの今後の展望
第7章日本の財産開示
一立法の経緯
1 歴史的経緯
2 沖野威判事の導入反対論VS 石川明教授の導入賛成論
3 石川明教授の試案
4 内山衛次教授の試案
5 日本の立法
6 平成15年改正の諸制度
7 個人情報保護法との関係
二統計資料に基づく現状分析
1 客観的状況~裁判所による統計データ~
利用件数が諸外国と比べ著しく低い
開示率(≒出頭率)の低下
奏功率
申立ての根拠別件数
過料に関する統計
2 利用する側の認識~日弁連による弁護士に対するアンケート調査~
債務名義が紙片となる
出頭率
虚偽陳述の割合
和解率(奏功率)
利用しない理由
実効性を高めるために
【日弁連による集計結果の抜粋】
3 金融機関による利用状況と評価
アンケート調査
裁判官の報告的論文
分析と評価
第8章展望~発展に向けた提言~
一改正の必要性
二財産開示手続の改正
1 概要
2 補充性の撤廃
3 支払催告手続
4 過去の財産
5 動産先取特権者による利用
6 刑事罰あるいは監置の導入について
7 「請求債権目録」の標題の変更
8 資料による裏付け
9 その他の論点
三名簿登載手続の創設
1 概要
2 制度の目的
3 二つの制度類型
4 被登載者の属性
5 破産手続・許認可制度との連動
6 閉鎖的名簿
7 その他の論点
四平和的解決手続の創設
五財産照会手続の創設
1 概要
2 財産照会の必要性と許容性
3 財産照会の補充性
4 支払催告手続
5 照会先及び照会事項
6 債権者による誓約書の提出
7 事後の通知
8 その他の論点
六執行官による質問と通知
七執行の分野を超えた活用
~執行段階からさらに債務名義作出段階へ~
第9章書式・資料
一申立書等
【書式1】財産開示手続申立書(法197条1項)
【書式2】財産開示手続申立書(法197条2項)
【書式3】当事者目録
【書式4の1】請求債権目録(法197条1項)
【書式4の2】請求債権目録(一部回収後)
【書式5】担保権・被担保債権・請求債権目録(法197条2項)
二添付書類
【書式6】委任状
【書式7】申請書(和解調書等送付及び判決正本等交付)
【書式8】執行文付与申立書
《参考資料1》執行文
【書式9】送達証明申請書
【書式10】判決確定証明申請書
《参考資料2》奥書
【書式11】代理人許可申立書
【書式12】送達場所及び送達受取人届
【書式13】送達場所に関する上申書
【書式14】債務名義に関する報告書
三証拠関係書類
【書式15】知れたる財産に関する調査報告書
《参考資料3》所有者相違との記載がある登記事項証明書交付申請書
《参考資料4》ネット登記情報提供サービス書面
【書式16】地番に関する報告書
四裁判所の決定・命令
《参考資料5》補正命令
《参考資料6》財産開示手続実施決定
《参考資料7》併合決定
五異議及び取下げ等
【書式17】執行抗告状
【書式18】取下書
《参考資料8》取下通知書
六財産目録及び開示期日に関する書類
《参考資料9》財産目録記載要領
《参考資料10》財産目録
【書式19】質問事項書
《参考資料11》財産開示期日調書
【書式20】財産開示期日調書謄本交付申請書
《参考資料12》宣誓書
七連絡手続その他に関する書類
【書式21】期日に関する上申書
《参考資料13》開示期日の指定等
【書式22】期日請書
《参考資料14》財産開示期日呼出状・財産目録提出期限通知書
【書式23】債務名義等還付申請書
【書式24】証拠原本還付申請書
【書式25】閲覧謄写委任状
八過料に関する書類
《参考資料15》過料の上申書
《参考資料16》通知書(過料の制裁)
九各国の条文資料
《条文資料1-1》日本の民事執行法
《条文資料1-2》日本の民事執行規則
《条文資料1-3》日本の家事事件手続法
《条文資料2》ドイツの民事訴訟法
《条文資料3-1》韓国の民事執行法
《条文資料3-2》韓国の財産照会規則
《条文資料4》フランスの民事執行法典
事項索引

PAGE TOP