Q&A 商標・意匠・不正競争防止の知識100問

本体 ¥ 4,200
¥ 4,620 税込

著者:清水節・髙野輝久・東海林保/編著
判型:A5判
ページ数:504頁
発刊年月:2016年5月刊
ISBN/ISSN:9784817843098
商品番号:40629
略号:商標

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シリーズ第1弾「Q&A 著作権の知識100問」

目次

第1 編 商 標 法
第1 章 商標とその使用
1  商品・役務
Q1  役務判断 (設樂 隆一)
 商標の指定役務はどのようにして区別するのでしょうか。例えば,広告
業としてする広告物のポスティングと,輸送業として行うダイレクトメー
ルの配達は,同じ役務となるのでしょうか。
Q2  商標法の目的と混同 (塩月 秀平)
 ?「建築専用材料」を指定商品とする登録商標,あるいは?「飲食物の
提供」を指定役務とする登録商標が,他の業者の「手袋」を表示する周知
の商標に類似するときには,混同を生ずるおそれがあるとして無効原因を
抱えているでしょうか。
Q3  役務商標 (富田 善範)
 A社は,カタログによる通信販売を事業として行っており,そのカタロ
グ名の商標登録を計画しています。この場合,指定役務を,?「通信販売
サービス」,又は?「小売店サービス」とする商標登録は可能ですか。
Q4  指定役務の判断 (富田 善範)
 ゲーム開発を行っているA社が,自社のロゴの商標登録を考えています。
A社は自社のホームページで開発した商品を紹介するとともに,それらの
商品を販売するB社のホームページへのリンクを貼っていますが,このよ
うな場合,指定商品(役務)は,何類に該当するのでしょうか。

2  地域団体商標
Q5  地域団体商標 (清水 節)
 地元の組合Aが,地域団体商標として,この地方で有名なご当地グルメX
を商標登録しようと考えています。地域団体商標の要件を教えてください。

3  立体商標
Q 6 立体商標 (清水 節)
 A社は,基幹商品として長く販売してきた商品について,その特徴的な
容器も商標登録しようと考えています。立体商標の要件を教えてください。

4  新しい商標
Q 7 改正商標法 (岡本 岳)
 平成27年に商標法が改正・施行されたようですが,保護対象としてどの
ようなものが追加されたのでしょうか。

5  商標の使用
Q 8 商標の使用 (髙野 輝久)
 地域の情報を記事にまとめた無料の情報紙の名称を商標登録しようと考
えていますが,このような無料のものに使用しても「商品」についての使
用として認められるでしょうか。
Q 9 商標の使用──小売等役務 (髙野 輝久)
 指定商品を「被服」等とするA社の商標Xと同じ文言を,B社が被服を
販売する小売店舗名として使用し,店舗内の柱や壁に記載しています。こ
れは,商標の使用に当たるのでしょうか。

第2 章 商標登録要件
1  自他商品識別力
Q10 原材料表示 (岡本 岳)
 加工食品の原材料となる農作物の名称「X」であっても,その食品に使
用され有名になっているものであれば,商標登録することができますか。
Q11 品質・機能表示 (鶴岡 稔彦)
 スマートフォンやタブレット端末における入力方式や機能などを表す表
現,例えば「マルチタッチ」や「Multi-touch」のような用語は,商標登
録することができますか。
Q12 一般名詞 (鶴岡 稔彦)
 商品を指す一般名詞として使われている「X」について,A社による宣
伝販売の結果,「A社といえばX」として知られるようになった場合には,
A社はその商品名Xを商標登録することができますか。
Q13 イラスト表示 (大寄 麻代)
 A社は,商品である肩こり用スプレーに,スプレーを使用している人の
イラストを表示しています。このイラスト自体は,それほど特徴がないよ
うに感じるのですが,そのようなイラストでも商標登録することはできま
すか。
Q14 効能表示 (大寄 麻代)
 ある食品に含まれる成分には,健康に良いとして知られている作用「X
作用」があり,A社はその成分を含む食品の名称として,「X」を使用し
ています。これを商標登録することはできますか。

2  不登録事由
Q15 外国周知商標 (平田 晃史)
 日本のA社は,海外で人気上昇中のB社のブランドについて,同社の許
諾を得ての日本での輸入販売を考えていますが,最近,無関係のC社が日
本でブランド名を少し変えたような商標を登録したようです。A社は,C
社の商標登録の無効審判を請求できますか。
Q16 公序良俗違反 (平田 晃史)
 A社は,日本において,海外のB社が製造する商品の輸入・販売を計画,
B社と交渉をしていましたが,その商品名をB社に連絡せずに商標登録し
ました。B社は,そのような商標登録の無効を主張することができますか。
Q17 公序良俗違反──国家資格等 (中村 恭)
 A社は,「菓子及びパン」を指定商品として「国家栄養士」の商標登録
の出願を計画していますが,国家資格に似ているのではないかとの指摘を
受けました。このような商標の登録は難しいのでしょうか。
Q18 公序良俗違反 (中村 恭)
 海外で人気があり日本でも知られているA社のブランドロゴと類似する
商標を,日本のB社が登録したようです。A社が無効審判を申し立てたと
ころ,商標法4 条1 項7 号の公序良俗に反するとして無効審決が出されま
したが,同項19号との関係はどうなるのでしょうか。
Q19 公序良俗違反・不正目的 (新谷 貴昭)
 「A」の名称を持つ団体が内部分裂し,一部の人たちが「新A」なる団
体を立ち上げました。このような「新A」について商標登録をすることは
できますか。
Q20 スポーツブランド (新谷 貴昭)
 A社の販売するTシャツに付されたロゴは,文字の部分は独自のもので
すが,周辺の図形デザインが,有名なスポーツブランドと似ていると感じ
ます。このようなロゴは,商標登録ができるでしょうか。
Q21 著名商標 (鈴木 わかな)
 A社がデザインした図形と文字からなる商標について,B市の市章と似
ているとの指摘を受けました。このような商標は,登録することができま
すか。
Q22 周知商標 (鈴木 わかな)
 A社は,出願をした商標が周知の商標に類似するとの指摘を受けました。
周知とされる商標は,それほど雑誌や新聞で紹介されているとは思えない
のですが,「周知性」の判断はどのようにされるのでしょうか。
Q23 他人の氏名 (中武 由紀)
 A社は,デザイナーの氏名である「B」を,Bの承諾を得た上でブラン
ドとして商標登録をしようとしていますが,その出願後にBが承諾を撤回
しました。この場合,商標登録をすることができるでしょうか。
Q24 他人の名称 (中武 由紀)
 A社が,長年使用してきた自社の商号を商標として登録しようとしたと
ころ,別業種ではあるものの同じ商号であるA社が存在することが分かり
ました。この場合でも,商標登録をすることはできるでしょうか。
Q25 著名な略称 (神谷 厚毅)
 A法人は「X学園」という専門学校を経営し,Xを商標登録しています
が,B法人から,同法人の経営する学園X’と略称が同じであるとして商
標登録の無効の審判が請求されました。B法人はその略称が著名であると
主張していますが,それはどのように判断されますか。

第3 章 商標の類否
Q26 周知商標との類否・不正目的 (田中 正哉)
 海外のA社がブランド名として「X」を長年使用して有名となっていま
したが,同社が商品の販売をやめたようなので,日本のB社がそのブラン
ド名「X」を商標登録しようと考えています。何か問題があるでしょうか。
Q27 商標の類否──ブランド名 (田中 正哉)
 服飾のブランドなどでは,複数語「X」+「Y」で構成されるブランド
名などを見かけますが,このブランド名が,その一方の「X」と類似する
登録商標「X’」に係る商標権を侵害すると判断される場合があるので
しょうか。
Q28 商標の類否──ドメイン名 (田中 正哉)
 A社は,インターネット上で「X.com」や「X.net」という名称のサイ
トを運営しています。これらの名称は,既に「X」についての商標登録が
ある場合でも,商標登録することはできるのでしょうか。
Q29 商標の類否──雑誌の題号 (神谷 厚毅)
 A社は,各地方中核市ごとに情報誌「シティウォッチャー」を出版して
います。B社は,若い女性を対象としたファッション誌の創刊に当たり,
その雑誌名として「ガールウォッチャー」を商標登録しようと考えていま
すが,これは「出所の混同を生ずるおそれのある商標」とされるでしょう
か。
Q30 著名商標との類否 (神谷 厚毅)
 海外の有名服飾ブランド名である「ラクロス」は,もともとは外国での
スポーツとして一般名詞です。A社は,ラクロスを一部に含んだ表現で商
標を登録しようと考えていますが,可能でしょうか。
Q31 商標の類否──結合商標 (大鷹 一郎)
 A町名産の「A焼」という陶器があり,当地の老舗のB社が「A」とい
う商標を有しています。このたび,同地のC社が,「Aのろくろや」とい
う商標を登録しようとしていますが,両商標は,類似するといえるでしょ
うか。
Q32 商標の類否──結合商標 (大鷹 一郎)
 図形と文字とを組み合わせた結合商標について,?文字部分が他の文字
のみの商標と似ている場合や,?文字部分は違うが図形部分が他の商標と
似ている場合,商標として類似すると判断されますか。

第4 章 出願・審査
Q33 同日出願 (田中 芳樹)
 A社とB社は,ほぼ同一の標章について,同じ日に商標登録の出願をし
ました。この場合,どのような手続によって登録の査定がなされるので
しょうか。また,両方が登録された場合,その効力はどうなるのですか。
Q34 分割出願と補正 (田中 芳樹)
 指定役務を「A」「B」とする商標登録を出願したところ,「A」を指定
役務とする他人の登録商標と類似する旨の拒絶査定及びそれを維持する審
決を受けたので,審決取消訴訟を提起しました。そして,補正により指定
役務「A」を削除して「B」のみの出願にするとともに,指定役務を
「A」とする分割出願を行いました。従前の出願「B」のみについて登録
を受けることは可能でしょうか。

第5 章 商標権の侵害
1  当事者
Q35 市場の運営者責任 (柵木 澄子)
 ウェブ上のショッピングモールで,A社の商標権を侵害する商品が多数
出店されています。この場合,A社は,ショッピングモールの運営者であ
るB社に対して,差止めや損害賠償の請求をすることはできますか。

2  商標的使用
Q36 商標的使用 (柵木 澄子)
 製品の規格の表示として「X向け」とか「X用」と表示することは,
「X」が他社の登録商標である場合,商標権の侵害になるのでしょうか。
Q37 商標的使用──宣伝文言 (嶋末 和秀)
 A社では,「飲食物の提供」を指定役務として,「ウチでもフレンチ」を
商標登録しました。B社は,飲食物の提供に際して「ウチでもフレンチ」
という宣伝文言を使用してきましたが,商標権の侵害になるのでしょうか。
Q38 商標的使用──イラスト表示 (嶋末 和秀)
 A社の販売するTシャツに,人物の顔のイラストが描かれており,その
背景の一部の記号がB社の登録商標に類似しています。この場合,常に商
標権の侵害に当たりますか。
Q39 商標的使用──ウェブサイトにおける表示 (東海林 保)
 A社は,被服等を指定商品とする登録商標を有しています。B社は,A
社の登録商標と類似する名称のウェブサイトを開設し,さらに同名称を
HTMLのメタタグとして記載し,スポーツ用ユニフォームなどを販売し
ています。ただし,そこで販売されている商品にはA社の登録商標と類似
する標章は一切付されていません。このようなB社の行為は,A社の商標
権の侵害に当たりますか。
Q40 商標的使用──商品の形状を示す標章 (東海林 保)
 A社が,ドーナツ型の座布団を製造し,その包装箱に「ドーナツクッ
ション」と表示して販売したところ,クッションを指定商品とする「ドー
ナツ」という登録商標を有するB社から,同登録商標と類似するとして差
止めを求められました。このような単に商品の形状を示す標章であっても,
A社は使用することができないのでしょうか。

3  抗弁等
Q41 商標権の効力──普通名称 (矢口 俊哉)
 商標権の効力が及ばない「普通名称……を普通に用いられる方法で表示
する商標」(商標26条1 項2 号)とは,どのような商標を指しますか。
Q42 権利濫用 (沖中 康人)
 A社のヒット商品「X」について,B社が商標権侵害として差止めを求
めてきました。B社は確かに「X」についての商標登録を受けていますが,
A社は「X」という商品名をそれ以前から使用しており,商標登録時はと
もかく,現在では,A社の商品として広く知られています。B社の差止め
は認められるのでしょうか。
Q43 権利濫用 (沖中 康人)
 A社が5 年前から使用している屋号について,B社から商標権の侵害で
あると言われました。確かに当該商標と屋号は類似していますが,その屋
号はそれほど特殊なものではなく,近隣でも似たような屋号を使用した店
舗が存在します。このような事情に基づいて商標権侵害を否定するA社の
主張は認められるのでしょうか。
Q44 先使用権 (矢口 俊哉)
 A社が運営する介護施設の名称「X姫路」について,登録商標Xを有す
るB社から差止請求がありました。A社はB社の商標登録以前から同名称
をある程度使用していたようですが,使用を続けることはできないでしょ
うか。
Q45 並行輸入 (鈴木 千帆)
 X国のA社は,同国で保有する商標権に係る商標について,同国での使
用をB社に許諾しています。日本国内のC社は,B社から当該商標を付し
た商品を輸入し,日本国内で販売しています。我が国においても,X国で
有する商標と実質的に同一の標章について商標権を有するA社は,C社に
損害賠償を請求できますか。B社が,A社との契約に反するような低品質
の商品を製造して商標を付していたような場合はどうですか。

4  損害額
Q46 損害──独占的通常使用権者 (鈴木 千帆)
 登録商標と同一の指定商品について,登録商標と類似する標章が付され
た商品がX社から発売されています。当該登録商標の商標権者が,その商
標権について専用使用権を設定,又は,独占的通常使用権を許諾していた
場合,商標権者,専用使用権者,独占的通常使用権者は,X社に対し,ど
のように損害賠償請求できますか。
Q47 損害の算定──商標的使用 (西村 康夫)
 A社は,インクカートリッジについての登録商標「X」を有しています。
B社は,Xが表示されたA社の使用済みカートリッジにインクを補充し販
売していますが,このような行為は商標権の侵害に当たるでしょうか。侵
害となる場合,損害額はどのように算定したらよいでしょうか。
Q48 並行輸入・損害の算定 (西村 康夫)
 海外のA社の標章Xについて,日本ではB社が登録商標を有しています
が,そうと知らずにC社がA社からXを付した商品を輸入し,販売してい
ました。B社は,Xを付した同種商品を販売していませんが,C社に対し
て損害賠償を請求しようとする場合,損害額の算定はどのようになるで
しょうか。

第6 章 審 判
1  無 効
Q49 自己使用 (本井 修平)
 Aは,自らの造語Xによる店名の飲食店の開店をしましたが,その開店
の数日後に,Bが同名Xの商標登録を出願し,その登録をしてしまいまし
た。Bは,Xを使用していないようですが,Aは,Bの商標登録の無効審
判を請求することができますか。
Q50 除斥期間 (本井 修平)
 A社は, 6 年前から化粧品に「X」の名称を付して販売し,Xの商標登
録もしています。このたび,B社が類似する商標を使用して化粧品を販売
しているとして,損害賠償を提起してきました。B社は,登録商標Xに対
して無効審判を請求するとともに,侵害訴訟で無効を主張することはでき
るでしょうか。
Q51 審決取消訴訟の原告適格 (今井 弘晃)
 AとBは,ある商標権を共有していますが,現在はBは当該商標を事業
としては使用していません。今般,当該商標の無効審決がされましたが,
Aのみが無効審決の取消訴訟を提起することができますか。
Q52 請求人適格 (今井 弘晃)
 紅茶について,その産地に基づく商標が登録されましたが,紅茶の輸入
業者を会員とする業界団体としては,それが産地の誤認を消費者に与える
ものと考えています。そのような業界団体は,無効審判を申し立てること
はできるでしょうか。

2  不使用による取消し
Q53  不使用による取消し──使用の意義,輸出を含むか(実本 滋)
 登録商標Xを印刷したラベルを貼付した商品を海外に輸出する行為は,
登録商標の使用に当たるのでしょうか。
Q54 不使用による取消し──商標的使用 (実本 滋)
 A社の登録商標Xについて,B社から不使用による取消請求がされまし
た。確かにA社は,請求前3 年間は,Xを使用していませんでしたが,既
にXを付した包装容器の製造を進めており,その旨の情報誌も作成してい
ます。このような場合には,A社による商標の使用は認められないので
しょうか。
Q55 不使用による取消し──商標的使用 (足立 拓人)
 A社の有する登録商標Xについて,B社から不使用による取消審判が請
求されました。「X」はA社が取り扱う商品の形態の一つを表す名称(X
形態)であり,A社は,登録商標Xを,商品名に付記するかたちで,商品
の形態を示すものとして使用していますが,それは商標の使用と認められ
るでしょうか。
Q56  不使用による取消し──社会通念上同一と認められる商標(足立 拓人)
 業界団体Aは,その構成中にAの登録商標Xの表示を含む,商品の規格
に適合していることを証する標章を制定しました。Aやその許諾を受けた
製造業者は,商品にこの標章を貼付していますが,これは登録商標Xの使
用と認められますか。
Q57  不使用による取消し──社会通念上同一と認められる商標(清野 正彦)
 A社は,自らの造語による登録商標「ECOPAC」を有しており,「エコ
パック」と記載した段ボールに商品を梱包して販売していましたが,「社
会通念上同一と認められる商標」とはいえないとして,不使用による取消
審決を受けました。このような場合でも,登録商標の使用をしていないと
されるのですか。
Q58  不使用による取消し──指定商品についての使用(清野 正彦)
 A社は,精米業者が販売する米を仕入れ,その袋に指定商品を「米」と
する登録商標Xを記載したラベルを貼付して販売しています。このような
場合でも商標の使用と認められますか。
Q59  不使用による取消し──通常使用権者による使用(髙橋 彩)
 A社は,自らの登録商標について,B社に専用使用権を設定し,B社は
更にC社に通常使用権を再許諾していました。A社とB社の専用使用権設
定契約が終了した後も,専用使用権の設定登録は残ったままとなっており,
かつ,C社は従前と同様に商標の使用を続けていたようですが,これを
もって商標の使用ということはできるでしょうか。
Q60  不使用による取消し──不使用についての正当な理由(髙橋 彩)
 海外で「A」というフランチャイズチェーンを展開しているA社は,日
本進出のために「A」を商標登録しましたが,マスター・フランチャイ
ジーの募集・交渉などを続けている間に3 年が経過してしまい,まだ出店
には至っていません。登録商標Aに類似する商標登録を意図するB社は,
不使用による取消審判を請求することができますか。

3  不正使用による取消し
Q61  不正使用による取消し──混同を生ずるおそれ(植田 裕紀久)
 B社は,A社による登録商標に類似する商標の使用により,混同を生ず
るとして取消審判を請求しました。この場合の混同を生ずるおそれの有無
は,どのように判断されるのでしょうか。
Q62  不正使用による取消し──審判請求の相手方(植田 裕紀久)
 商標権者A社から通常使用権の設定を受けたB社に不正使用(誤認混同
行為)があったとして,商標法53条1 項による商標登録取消審判の請求を
しようとしていたところ,その後,商標権がA社からC社に譲渡されてし
まいました。この場合,C社を相手方として商標登録の取消審判を請求す
ることができますか。

4  不正登録による取消し
Q63  不正登録による取消し──不正登録についての正当な理由(三井 大有)
 日本のA社は,世界貿易機関の加盟国である外国のB社と継続的に取引
をしてきましたが,B社が外国において有する商標権の登録商標に類似す
る商標について,日本で商標登録をしてしまいました。B社は,A社の商
標登録の取消審判を請求することができますか。

第2 編 意 匠 法
第1 章 意匠登録要件
Q64 関連意匠の意匠登録出願 (藤田 壮)
 A社は意匠?について意匠権を有していますが,B社から意匠?に類似
する意匠?について意匠登録出願がされました。意匠?は意匠?に類似す
るとして拒絶を受け,これが確定しました。A社は,今後のことも考えて,
意匠?を本意匠とする関連意匠として意匠?の意匠登録出願をしようと考
えています。このような出願は可能ですか。
Q65 創作容易性 (藤田 壮)
 意匠登録出願が拒絶されたため,不服審判を請求したところ,意匠法3
条2 項に該当するとして認められませんでした。同項にいう創作容易性と
は,どのように判断されるのですか。
Q66  肉眼によって認識することができない微小な意匠(宇野 遥子)
 A社の電子製品は,そのデザイン性に優れているとして業界では評判で
すが,それは拡大鏡を使用しないと認識することはできません。このよう
なデザインについても,意匠登録を受けることはできますか。

第2 章 意匠の類否
Q67 意匠の類否──一般 (宇野 遥子)
 A社の登録意匠について,B社が意匠登録無効審判を請求しました。B
社の商品と比べてみると異なるところが見られるのですが,意匠の類否は
どのように判断されるのでしょうか。
Q68 意匠の類否──商品の部分 (山田 知司)
 意匠権者であるA社が,B社の商品について意匠権の侵害を主張してい
ます。B社の商品の一部を切り取ってくると,確かにA社の登録意匠に似
ている部分があるようですが,この場合でも意匠の利用,あるいは意匠の
類似に当たるのでしょうか。

第3 章 出願・審査
Q69 登録意匠の範囲 (山田 知司)
 A社の開発したマスクは,折りたたんである状態(商品棚に陳列される
形態)もさることながら,装着した際の形状に特徴があり,A社はこれを
意匠として登録したいと考えています。出願の際は,どのようなことに注
意をすればよいでしょうか。
Q70 分割出願 (髙松 宏之)
 A社は,ある商品デザインについて,その参考図としてアタッチメント
を取り付けた状態の意匠を記載した意匠登録出願をしていました。その後,
A社は,アタッチメントを取り付けた状態の商品も,別の意匠として登録
したいと考えていますが,可能でしょうか。
Q71 意匠登録出願への変更 (髙松 宏之)
 特許出願を意匠登録出願に変更する方法を教えてください。

第4 章 意匠権の侵害
Q72 先使用権 (寺本 佳子)
 A社は,以前から包装パックを製造しており,改良を重ねて現在の形に
なっています。このたび,同種の製品について意匠登録を受けたというB
社から差止めを請求されました。A社は,現在の形の包装パックの使用を
続けることはできないでしょうか。
Q73 損害の算定 (寺本 佳子)
 A社の商品の販売が,B社の意匠権を侵害するとの認定がされました。
A社の商品は,特定の携帯電話にしか使用できないものですが,B社の商
品は,携帯電話のほかに様々な機種・機器に利用することができます。こ
の場合のB社の損害額はどのように考えたらよいでしょうか。

第3 編 不正競争防止法
第1 章 商品等表示性
Q74 商品等表示の使用 (三井 大有)
 A社は,その提供するサービスに「X」という名称を使用していますが,
B社は,「X.co.jp」のドメイン名の割当てを受け,ウェブサイトにおいて
「X」「エックス」の表示を使用しています。これは不正競争に当たります
か。
Q75 商品等表示性──商品の形態 (本多 久美子)
 A社は,自社が販売する医療用医薬品とカプセルや包装が同色のジェネ
リック医薬品が市場に出回っており,需要者は外見からA社の商品を判別
できないと考えています。A社は,このようなジェネリック医薬品の製造,
販売の差止めを請求することができますか。
Q76 商品等表示性──商品の形態 (本多 久美子)
 世界的に有名な時計メーカーであるA社は,自社が製造・販売する高級
腕時計について,B社の販売する廉価な腕時計がA社の製造,販売する高
級腕時計の形態と似ていると考えています。A社は,このような廉価な腕
時計の製造,販売の差止めや損害賠償を請求することができますか。また,
この場合,損害額はどのように算定されますか。
Q77 商品等表示性──ゲーム影像 (谷 有恒)
 最近B社が出したクイズゲームアプリでは,随所に先行商品であるA社
のゲームと似た画面が出てきます。クイズに正解した場合の画面などは
そっくりだと感じるのですが,これは不正競争行為に当たりますか。
Q78 商品等表示性・形態模倣 (谷 有恒)
 A社が開発し,B社が販売している変形する水切りざる(以下「原告商
品」という。)がヒットしています。これは形状が柔らかくてどのような形
にも変えられ,例えば絞るようにして水を切ることも可能になっています。
C社が同様の商品(以下「被告商品」という。)を販売した場合,不正競争
になるでしょうか。また,不正競争になる場合,販売者であるB社は,C
社に対して差止めや損害賠償を請求することができますか。
Q79 商品等表示性──形態 (山田 陽三)
 A社は特徴的な外観の店舗で永年営業をしてきましたが,最近,その外
観を模したと思われる他社の店舗が出てきました。これは不正競争に当た
りますか。

第2 章 混 同
Q80 営業と宗教活動 (山田 陽三)
 ある宗教法人A会から分派した会派が「A会B分会」という名称を称す
ることは,不正競争ということができますか。
Q81 広義の混同 (田原 美奈子)
 A社の商号は,服飾ブランドとして世界的に著名ですが,ある飲食店B
が,その商号を含んだ名称のスナックを経営しています。営業内容が大き
く異なりますが,A社の差止めは認められるのでしょうか。
Q82 商品等表示性・類否 (松阿彌 隆)
 A社は,看護師を対象とした「X nursing」という題号の情報誌を出版,
販売していますが,B社から,医師を対象とした「X」という題号の専門
誌が発刊されました。このような行為は,不正競争に当たるでしょうか。
Q83 雑 誌 (田原 美奈子)
 A社は,新たに「La Vogue○○」という名称のマンションを販売する
に当たり,マンション名を含むチラシを作成,配布していましたが,印刷
物について「VOGUE」との商標登録を有し, ファッション雑誌
「VOGUE」を発行するB社から,使用差止めの請求を受けました。これ
も,不正競争に当たるのでしょうか。
Q84 商 号 (松阿彌 隆)
 「X」という略称で知られる「X△△株式会社」があり,この商号は,
業界や一般消費者に広く知られています。同じ業界の会社が「X□□株式
会社」という商号を用いることは,不正競争に当たりますか。

第3 章 適用除外
Q85 普通名称・慣用表示 (菊池 絵理)
 A市B町の中学校について「AB学園中学校」と名付けようと考えてい
ますが,「B学園」という全国的に有名な学校が他県に存在しています。
「A」も「B」も地名であり,かつありふれた名称ですが,この場合でも
不正競争に当たるのでしょうか。
Q86 普通名称・慣用表示 (菊池 絵理)
 A社が販売する医薬品で,通称名○○○,錠剤の態様△△,アルファ
ベット□などを組み合わせた「○○○△△□」という有名な商品がありま
す。B社が販売する同種の医薬品の箱には,通称名○○○,錠剤の態様△
△,アルファベット■がそれぞればらばらに表示されているのですが,こ
の場合も不正競争に当たるでしょうか。
Q87 自己の氏名の使用 (田中 孝一)
 自らの名字Xを冠する「X診療所」を開設しようと考えていますが,近
隣に「医療法人○○会X病院」の名称の大手医療機関が存在します。この
場合,自己の氏名を不正の目的で使用する行為に当たるでしょうか。

第4 章 商品形態模倣
Q88 ありふれた形態 (田中 孝一)
 A社は,B社の商品が自社商品の模倣であると主張しています。B社は,
同種の商品であれば,同じような形状になると言っていますが,この場合,
不正競争の視点からはどのように判断すればよいですか。
Q89 形態模倣 (小田 真治)
 化粧品を販売するA社は,これまでB社からボトルに入った化粧品を仕
入れて販売していましたが,B社との取引が終了した後も,B社のボトル
と表面の色や模様は変えているものの,形はそっくりのボトルを製造し,
これに化粧品を入れて販売しています。この場合,A社の行為は不正競争
と言えますか。

第5 章 営業秘密
Q90 営業秘密性 (小田 真治)
 「原価セール」と称して,小売店が顧客に対して卸値を開示しています。
目  次  xxiii
卸業者は,卸値を開示することを事前に了解していなかったのですが,卸
値は営業秘密に当たるでしょうか。
Q91 秘密管理性 (中平 健)
 A社の元従業員が,A社の営業秘密である資料を他社に提供しているよ
うです。A社には営業秘密管理マニュアルはなく,当該資料にも「社外
秘」などの記載はありませんでした。この場合は,?管理者しか鍵を持た
ない棚に保管していたり,?パスワードをかけた上でアクセス制限のある
サーバに保管していたりしていても,営業秘密として保護されないので
しょうか。
Q92 リバースエンジニアリング (中平 健)
 A社が製造し市販している製品の技術情報は,市販の製品からリバース
エンジニアリングをする場合,一般的な技術的手段を用いるだけでは容易
に取得することはできませんが,高度の専門的知識と技術をもって長時間
をかけて解析すれば取得することができそうです。このような技術情報は,
営業秘密として保護されるのでしょうか。
Q93 不正取得行為 (知野 明)
 A社の営業秘密である製品の製造装置の図面等が,A社の社員A1から,
B社の社員で元A社員であったB1へと渡されて,B社に流出したようで
す。A社は,誰に対してどのような対応を採ることができますか。

第6 章 原産地等誤認惹起
Q94 原産地誤認惹起行為 (荒井 章光)
 A市内にあるB社は,A市の名産である「Aうどん」を販売しています。
ところが,B社の製品は,他市の工場で製造されているもののようです。
これは,原産地誤認惹起行為に当たりますか。
Q95 品質等誤認惹起行為 (荒井 章光)
 A社が販売する電子部品には,法律が定める検査に適合したことを示す
表示が付されていますが,実際には検査を受けていないようです。同業者
のB社は,A社に対して,販売の差止めや損害賠償を請求することができ
ますか。

第7 章 営業誹謗
Q96 廉価販売 (知野 明)
 A社は,「B社よりも安い!」と表示したポスターを,店頭に貼り出し
て営業をしていますが,これは不正競争に当たりますか。
Q97 特許権侵害 (田邉 実)
 B社は,A社の取引先に対して「A社の商品がB社の有する特許権を侵
害する」旨を警告しました。A社は,その商品がB社の特許権の特許発明
の構成要件を全て充足しているものの,B社の特許権は進歩性を欠いた無
効なものであると考えています。B社のした警告は,A社の信用を害する
行為と言えますか。
Q98 虚偽事実告知行為──幇助 (田邉 実)
 A社を誹謗する内容の書籍が発行されましたが,その書籍の制作には同
業のB社が関与しているものと思われます。この場合に,B社は,A社の
営業上の信用を害する虚偽の告知等を行ったということができるでしょう
か。

第8 章 パブリシティ権
Q99 パブリシティ権 (中島 基至)
 Aが刊行の構想を練っている書籍について,その内容のイメージが知り
合いの有名タレントBに一致すると考えています。Aが以前に撮影したB
の写真を書籍に使いたいと考えていますが,可能でしょうか。
Q100 物のパブリシティ権 (中島 基至)
 Aの飼い犬XがTVに出たことから人気が出て,マスコミにも度々登場
するようになりました。飼い主であるAは,Xの名前を他人が利用しよう
とするのを差し止めることができるでしょうか。

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判例索引
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