インターネット削除請求・発信者情報開示請求の実務と書式

本体 ¥ 3,000
¥ 3,300 税込

著者:神田知宏/著
判型:A5判
ページ数:304頁
発刊年月:2021年3月刊
ISBN/ISSN:978-4-8178-4716-4
商品コード:40872
略号:ネト請

商品情報


煩雑でありながらスピードを求められる業務は
相談を受けてから調べていては間に合いません!


これまでに1000件以上のインターネット関係仮処分を担当。削除請求、発信者情報開示請求を数多く手掛ける著者による実務解説書!

どこに何が書かれているのか認識しやすく、体系的に理解しやすい見開き完結スタイル!

ログ保存期間一覧、接続先IPアドレス一覧など役立つ情報が満載!

論証用判例・裁判例集などすぐに実務で使える資料を多数収録!

目次

第1 章 相談と受任
1  ネット記事に対する対抗措置
インターネットでの誹謗中傷,なりすましといった権利侵害については,削除請求と発信者情報開示請求ができます。投稿者を特定したあとは,損害賠償請求も可能です。
2  削除請求の注意点
削除請求を検討・受任する際には,対象サイトが削除請求に応じているのかどうかだけでなく,削除請求の結果,消したい記事が増えてしまうリスクはないかを確認する必要があります。
3  発信者情報開示請求の注意点
発信者情報開示請求を検討・受任する際には,最終的に投稿者にたどりつくのか否か,特に,IPアドレスからたどる方法の場合,投稿日から数えてログ保存期間内かどうかに注意する必要があります。
4  投稿者の立場でできること
投稿者からの相談には,意見照会回答の代理作成,問題投稿の削除請求,慰謝料請求訴訟の被告側対応があります。このうち,問題投稿の削除請求は,本人がするなら格別,代理での請求は避けるべきです。
5  スケジュール感
相談者は,削除,発信者情報開示請求にどのくらいの時間を要するかに関心があります。大まかにでも説明できるよう,スケジュール感を確認しておきましょう。
6  受任契約書の注意点
依頼者とのトラブルを防ぐため,受任契約書には,最低でも請求対象を特定するためURL・投稿番号を記載しましょう。もちろん,削除請求なのか開示請求なのか,それとも両方なのかの記載は大前提です。
7  委任状・本人確認書類
迅速な対応を期すべく,手続に必要な委任状,本人確認書類,資格証明書は受任後すみやかに用意しましょう。印鑑証明書,住民票記載事項証明書は,本人に頼んでおく必要があります。
Column 1 削除請求と非弁行為
第2 章 サイト調査
8  インターネットの仕組み
削除請求・発信者情報開示請求で必要となるインターネットの技術的な概念を押さえましょう。IPアドレス,ドメイン名,ログは特に重要です。
9  請求相手は誰か
誰に請求すれば良いのか,イメージを押さえましょう。インターネットでは,情報を管理する管理者(請求の相手方)は階層構造になっています。
10  サイト管理者の調査
サイト管理者を調べるには,サイト内で「会社概要」「利用規約」といったウェブページを探します。そのようなページがないときは,WHOIS(フーイズ)検索サイトでドメイン名の登録者を検索します。
11  サーバー管理者の調査
サーバー管理者を調べるには,ホスト名に対応するIPアドレスの登録者を調べます。IPアドレス登録者の調査にはWHOIS検索を使います。
12  スクリーンショットによる証拠化
権利侵害情報の証拠化には,スクリーンショットを活用しましょう。印刷機能では,ウェブページの内容が正しく再現されないこともあります。撮影の際には,URLが切れないよう注意してください。
13  印刷による証拠化
印刷物を証拠提出する際には,URLが印刷されていることと,ページの内容が切れていないことを確認します。とりあえず印刷しPDFとして保存しておく場合には,PDF印刷機能を活用しましょう。
14  HTMLソースの証拠化
ハイパーリンクのリンク先URLや投稿用フォームの投稿先URLを証拠化するには,ウェブページのHTMLソースを利用します。
15  削除されたページの証拠化
相談時に記事が削除されている場合には,検索サイトのキャッシュか,ウェブアーカイブから探します。あらかじめファイルとして保存してあれば,あとから必要な情報を証拠化できることもあります。
Column 2 情報法とプロバイダ責任制限法
第3 章 サイトごとの方針
16  Twitter
Twitterに関する削除・IPアドレス開示仮処分は,米国法人Twitter, Inc.を債務者とします。IPアドレスは,直近60日分が開示されます。
17  Googleのクチコミ
「Googleのクチコミ」に関する削除・IPアドレス開示仮処分は,米国法人Google LLCを債務者とします。
18  Instagram
Instagramに関する削除・IPアドレス開示仮処分は,米国法人Facebook,Inc.を債務者とします。写真とコメントの投稿日時はHTMLソースから読み取ります。
19  Yahoo!知恵袋
Yahoo!知恵袋の削除請求・IPアドレスの開示請求には,仮処分申立てが事実上必須です。
20  2 ちゃんねる
2ちゃんねるに対する削除・開示仮処分では,無審尋上申,送達遅らせ上申を出し,発令後はオンラインで削除請求,開示請求します。
21  5 ちゃんねる╱ミラーサイト
5ちゃんねるに対する削除請求には,メールが有効です。5ちゃんねる本体の投稿を削除したあとは,ミラーサイトに同じ投稿が残っていないか確認し,あれば別途,削除請求します。
22  管理者不明のサイト
初見のサイトについて削除請求・開示請求の相談があったときは,まずドメイン名の登録者とサーバー管理会社を調べて方針を立てます。
Column 3 海外サイト案件と報道
第4 章 権利侵害の判断
23  削除請求権
人格権侵害差止請求権としての削除請求権に根拠条文はありませんが,判例上認められています。要件事実には,違法性阻却事由の不存在も含まれています。
24  発信者情報開示請求権
発信者情報開示請求権は,プロ責法4条1項に規定されています。要件事実のうち中心となるのは,権利侵害の明白性です。
25  同定可能性
人格権侵害では,同定可能性,つまり,誰が被害者かを判断できることが要件です。同姓同名の別人・同じ商号の別法人の可能性を排除できるかどうかで判断します。
26  名誉権侵害
名誉権侵害を理由として削除請求・発信者情報開示請求をするには,事実摘示型だと構成し,摘示事実の反真実性を主張立証します。意見論評を削除請求・発信者情報開示請求することは,基本的に困難です。
27  社会的評価の低下
名誉権侵害の主張では,はじめに「一般読者の普通の注意と読み方」を基準にして,記事がどのような趣旨だと読めるかを指摘し,その上で,対象者の社会的評価が低下すると指摘します。
28  名誉感情侵害
民事の侮辱は名誉感情侵害であり,社会通念上許される限度を超える内容かどうかで判断します。
29  プライバシー侵害
プライバシー侵害は,6つの考慮要素により,公表する利益より公表されない利益が優越するか否かを検討します。
30  肖像権侵害
肖像権には①撮影されない人格的利益と,②公表されない人格的利益とがあり,撮影の違法性により,公表の違法性の判断基準が変わります。最高裁はいずれも,受忍限度かどうかで判断しています。
31  営業権侵害
「営業権」は権利の範囲が明確でないものの,営業権侵害を理由とした発信者情報開示請求はできる場合があります。他方,営業権侵害を理由とする削除請求はできません。
Column 4 方針は事実摘示
第5 章 類型別権利侵害の論点
32  なりすまし
なりすましのケースでは,なりすまし自体の違法性を問う方法と,なりすまし投稿の違法性を問う方法とがあります。
33  コピー・リンク
別の記事をコピーしただけ,聞いた話を書いただけ等の反論は有効ではなく,人格権侵害の成立する可能性があります。
34  前提事実のない意見論評
前提事実の記載されていない意見論評は,前提事実の不存在を立証しにくいものの,発信者情報開示請求を肯定した裁判例はあります。
35  犯罪報道の削除請求
過去の犯罪報道の削除請求では,対象サイトと期間経過が考慮されます。嫌疑不十分不起訴であれば,検索結果の削除も可能です。
36  限定的公開情報のプライバシー
法人の登記記録,判決,官報などで,制度上公開されている情報でも,プライバシーとして保護されます。同意の範囲などをプライバシー侵害の要件に照らして検討してください。
37  真実と信じるにつき相当の理由
真実と信じるにつき相当な理由は,削除請求でも発信者情報開示請求でも考慮する必要がありません。投稿者特定のあと損害賠償請求の段階で,はじめて検討が必要になります。
Column 5 ランキングサイトと不正競争
第6 章 仮処分の手続
38  仮処分手続の流れ
削除請求・発信者情報開示請求では,他の分野の案件と異なり,仮処分の手続が多用されます。相談者への説明のためにも,まず流れとスケジュール感を確認しておきましょう。
39  仮処分命令の申立て
申立書の記載内容と申立てに必要な書類等を確認しましょう。
40  疎明資料
削除仮処分,発信者情報開示仮処分・消去禁止仮処分で必要となる疎明資料は,パターンが決まっています。
41  海外法人を債務者とする申立て
海外法人を債務者とする仮処分申立てでは,①管轄上申,②申立書一式と資格証明書の訳文,③呼出状の翻訳が必要です。④資格証明書の意味や海外の法制度に関する上申が必要となるケースもあります。
42  債権者面接・双方審尋の手続
仮処分手続と訴訟手続とでは,スケジュール感が異なります。訴訟手続では珍しい「取下勧告」の意味についても確認してください。
43  供託の手続
削除決定・発信者情報開示決定を受け取るには,担保として法務局での供託が必要です。供託する金額は10万円または30万円で,申立ての際に第三者供託上申をしておくと,各種手続が簡便になります。
44  担保の回収
仮処分決定の目的を達したあとは,裁判所で担保の「取消し」手続をしてから,法務局で「取戻し」手続をします。取消しから取戻しまでに要する期間は,約1~3か月です。
45  不服申立ての手続
仮処分決定には不服申立ての手段がいくつかあり,上級審の判断を仰ぐことができます。また,本案訴訟での判断を求める方法もあります。
46  仮処分決定が履行されないとき
削除仮処分決定,IPアドレス開示仮処分決定が発令されたにもかかわらず,サイト管理者が任意履行しないときは,間接強制で強制します。決定書を受け取ってから2週間以内という期間制限があります。
Column 6 併合請求と民訴10条の2
第7 章 削除請求
47  削除請求の相手方の選択
削除請求の相手方は,①投稿者,②サイト管理者,③サーバー管理者から選ぶことができます。法律上,順番は決まっていません。
48  フォーム・メールでの削除請求
サイトに削除依頼フォームや削除依頼用メールアドレスが用意されているときは,それらの方法で削除依頼できます。強制力はありませんが,簡易・迅速に(数日程度で)削除してもらえます。
49  送信防止措置依頼書での削除請求
多くのサイトでは,「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」(通称「送信防止措置依頼書」,書式1)の郵送またはメール添付での削除請求を受け付けています。削除に要する期間は2~4週間ほどです。
50  削除仮処分
サイト管理者が送信防止措置依頼書等による削除請求に応じなかったときは,削除仮処分を利用します。裁判所が削除を命令すれば,ほとんどのサイト管理者は削除に応じます。
51  削除仮処分での争点
削除仮処分に特有の争点を確認し,債務者の主張に備えてください。
52  検索結果削除請求
記事本体が削除できないときや,削除すると炎上しそうなときは,検索結果削除請求を利用します。グーグルの検索結果が消えると,ヤフーの検索結果は同時に消えます。Microsoft Bingは別です。
53  検索結果削除仮処分での争点
最高裁決定(最三決平29.1.31民集71巻1号63頁)によっても,いくつかの論点が未解決のまま残りました。検索結果削除仮処分に特有の争点を確認し,検索事業者の主張に備えてください。
54  オートコンプリートの削除請求
検索キーワードの候補が自動的に表示されるオートコンプリートや関連検索キーワードは,オンラインフォームから削除請求します。
55  キャッシュの削除請求
削除完了したのに「まだ削除されていない」と言われたときは,キャッシュの可能性を考えましょう。検索サイトのキャッシュは短期間で更新されますが,オンラインフォームによる削除請求も可能です。
Column 7 削除請求の時的限界
第8 章 発信者情報開示請求
56  実名登録型サイトからの開示請求
実名登録型サイトで投稿者を特定するには,サイト管理者(コンテンツプロバイダ)に対し,投稿者の住所氏名を開示請求します。ショッピングサイトのクチコミなどで使う手法です。
57  匿名サイトからの開示請求
匿名投稿のできるサイトで投稿者を特定するには,IPアドレスの開示請求→住所氏名の開示請求という2段階の手続が必要です。
58  開示請求の応用形
匿名サイトからの開示請求には,亜種がいくつかあります。投稿者特定という最終目的を達成するため,とりうる手段,とるべき手段を確認しておきましょう。
59  管理者不明のサイトでの開示請求
サイト管理者が分からなければ,サーバー管理者に開示請求します。サーバー管理者がログを管理しているか否かと,サイト管理者と投稿者が同一人物かどうかで,開示請求する情報と手続が変わります。
60  IPアドレスの任意開示請求
IPアドレスの開示請求には,メールやオンラインフォーム,発信者情報開示請求書も利用されます。ただし,強制力はないため,無視される可能性もあります。
61  IPアドレス開示仮処分
サイト管理者がIPアドレスの開示請求に応じなかったときは,発信者情報開示仮処分を利用します。裁判所がIPアドレスの開示を命令すれば,ほとんどのサイト管理者は開示に応じます。
62  サイト管理者の開示請求
サイト管理者が不明で,かつサーバー管理者が投稿者の通信ログを管理していないときは,サーバー管理者にサイト管理者の開示仮処分をします。住所・氏名の開示仮処分が認められる類型の1つです。
63  IPアドレスからプロバイダの検索
サイト管理者やサーバー管理者からIPアドレスが開示されたあとは,どの接続プロバイダのIPアドレスなのかを調べます。WHOISによりIPアドレスの登録者を調べる方法が一般的です。
64  ログ保存の依頼
IPアドレスから接続プロバイダが判明したあとは,ログの保存を依頼します。これにより,ログの存在と請求相手を確認・確定できます。発信者情報開示請求書によりログを確保することもできます。
65  ログ保存仮処分
確実にログを保存してもらいたいときは,ログ保存仮処分(発信者情報消去禁止仮処分)を利用します。東京地裁保全部では,特にソフトバンクを債務者とするログ保存仮処分が多いそうです。
66  ログの不存在・不見当
接続プロバイダにログ保存を依頼した際,「ログが見つからない」「ログを特定できない」と回答されるケースがあります。このとき,まだ望みがあるのか,もう望みがないのかを見極める必要があります。
67  接続事業者の開示仮処分
ログ保存の依頼や仮処分をした際,「当社はMNOであり投稿者の住所氏名は知らない。MVNOが知っている」と回答されることがあります。その場合は,MNOに対し,MVNOの開示請求をします。
68  接続先IPアドレス
ログ保存の依頼やログ保存仮処分の際,接続プロバイダから「接続先IPアドレス」(ドコモは「受信元IPアドレス」)を要求されたときは,サイト管理者に追加で開示を求め,接続プロバイダに伝えます。
69  発信者情報開示請求訴訟
投稿者の住所・氏名・電話番号・メールアドレスの開示請求には,訴訟手続を使います。発信者情報開示請求書では,投稿者が開示請求に同意しない限り,開示を拒まれるのが一般的です。
70  ログインIPアドレスでの開示請求
投稿時のIPアドレスではなく,ログイン時のIPアドレスしか記録していないサイトもあります。プロ責法上は,ログイン時のIPアドレスにより住所氏名の開示請求ができるのかが争点となります。
71  意見照会と意見照会回答削除請求,発信者情報開示請求とも,投稿者に対する意見照会の手続があります。いずれも一定の期間内に,同意するかどうかの回答書を返信・返送する必要があります。
72  法人・組織が開示されたとき
発信者情報開示請求訴訟に勝訴し,契約者情報が開示されても,そこで目的達成とは限りません。法人や組織が開示されたときは,発信者(個人)までたどれるか,更なる調査が必要です。
73  投稿者にたどりつかなかったとき
IPアドレスから投稿者までたどりつかなければ,基本的に手続は終了です。ただし,サイト管理者に対するアカウント情報の開示請求ができるケースもあります。
Column 8 通信記録と顧客データベース
第9 章 投稿者への請求
74  投稿者に対する損害賠償請求
開示された投稿者に対しては,不法行為に基づく損害賠償請求(民709・710)ができます。判例相場では,100万円が事実上の上限と考えられますが,調査費用は別途請求できます。
75  調査費用の請求
損害賠償請求では,発信者情報開示請求に要した弁護士の料金を「調査費用」として投稿者に請求できます。どの程度の金額が認められるのかについては争いがあります。
76  和 解
投稿者に損害賠償請求訴訟を提起しても,判決で得られるのは判例相場の慰謝料に限られます。より高額の慰謝料や,謝罪,再発防止の約束まで求めるのなら,和解を検討しましょう。
77  刑事告訴
不法行為の原因となる投稿が犯罪に当たるときは,刑事手続も利用できます。名誉毀損罪で刑事告訴する際には,告訴期間に注意しましょう。プロバイダから開示書が届いてから6か月です。
78  インターネット事業者への請求
インターネット事業者が削除しないこと,削除したこと,開示しないことに関しては,損害賠償請求できるケースがあります。ただし,プロ責法や判例により要件が加重されています。
Column 9 接続プロバイダへの慰謝料請求

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