3 1 養育費とは 養育費とは、こどもを監護・教育するために必要な費用のことをいいます。 一般的には、経済的・社会的に自立していないこどもが自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。 親のこどもに対する養育費の支払義務(扶養義務)は、親の生活に余力がなくても自分と同じ水準の生活を保障するという強い義務(生活保持義務)だとされています。 離婚により親権者でなくなった親であっても、また、こどもと離れて暮らすこととなった親であっても、こどもの親であることに変わりはありませんから、こどもに対して自分と同じ水準の生活ができるようにする義務があります。 こどもに対し、親としての経済的な責任を果たし、こどもの成長を支えることは、とても大切なことです。 2 養育費の取り決めについて 養育費は、こどものためのものですから、こどもと離れて暮らすことになる親とこどもの関係を大事にするためにも、離婚時にきちんと取り決めておくようにしましょう。 新しい生活の始まりからすぐに養育費の支払がスムーズに行われるように、養育費の金額、支払期間、支払時期、支払方法などを具体的に決めておくのがよいでしょう。養育費の取り決めは、後日その取り決めの有無や内容について紛争が生じないように、口約束ではなく、書面に残しておくようにしましょう。 養育費の取り決めを書面にするには、父母間のみで合意書面を作成する方法のほか、公証人に依頼して公正証書を作成する方法や、裁判所の手続を経て調停調書等を作成する方法もあります。 父母間の話し合いで合意文書の作成を試みるほか、当事者だけで話し合いが難しい場合には、弁護士や民間のADR(裁判外の調停、あっせん等の紛争解決手続)機関といった専門家に相談することも考えてみましょう。 第1 はじめに
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