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106 第2章 各種図面の作成提供された図面に関しても申請人の対象土地を中心に調査・測量の上,申請人の意向に沿った主張線をもって作成された図面が多くみられる。 一方,筆界特定手続における「筆界特定」のための調査・測量範囲については,対象土地や関係土地の創設経緯や特定すべき筆界が「原始筆界」か「創設筆界」かによって,正に千差万別であり,少なくとも申請人の対象土地に限定した調査・測量範囲に留まるものではない。 したがって,依頼者又は相談者に対して,土地家屋調査士や登記官は,一般的な登記手続よりも調査・測量費用が高額となることについて,確実に説明しておかなければならない。 また,筆界特定において特定すべき「筆界」は公法上の筆界であって,占有界や所有権界などの私法上の筆界とは異なることから,申請人本人がこのことを正しく理解しないまま,手続が進行してしまうと,調査・測量費用や報酬に関して思わぬ事態が生じてしまうこともある。 すなわち,正しく筆界特定制度を利用してもらうということは,申請人本人が公法上の筆界についての正しい理解に基づき,必要かつ十分な調査・測量の範囲に納得した上で,特定される内容によっては,民事訴訟など他制度利用によらなければ,申請人の抱える問題の全てを解決できない場合もあるということを認識していただくことが重要であり,土地家屋調査士や登記官は,受任前や受付前に依頼者や利用者国民への十分な説明が肝要となる。

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