氏戸
14/38

民法上の氏の変動と戸籍の変動(1)婚姻による戸籍の変動002第1 氏の変動と戸籍の変動ますので,従前戸籍(夫婦であった戸籍)から除かれることになります。このように,従前戸籍から除かれて,新戸籍を編製するか又は他の戸籍へ入籍することにより,戸籍が移動することを,戸籍の変動といいます。 戸籍法は,戸籍の変動について,戸籍法16条から23条に規定しています。これら戸籍の変動は,当然,戸籍の編製基準(戸籍法6条)に合致するものであり,上記のように民法上の氏とも密接な関係があります。民法上の氏に変動があるときは,常に戸籍の変動を生じますが,氏の変動がなくとも戸籍の変動を生ずる場合も少なくありません(戸籍法16条1項本文・17条・21条等)。 それでは,以下で,民法上の氏の変動と戸籍の変動等について,個別的に触れることにします。 民法上の氏とは,端的にいうと,民法に規定されている氏をいいます。 氏の取得は,日本国民である限り民法上親子という身分関係に基づく出生の事実によって当然に定まるものとされています(民法790条「子の氏」)。 民法の氏の変動には,一定の身分行為の結果として生ずる場合と,氏の変動を欲する意思表示による場合とがあります。前者には,①婚姻により夫婦の氏が定まり(民法750条「夫婦の氏」),②離婚又は婚姻取消しにより婚姻の際に氏を改めた者は,婚姻前の氏に復し(民法767条・771条・749条),③養子縁組により養子は養親の氏を称し(民法810条「養子の氏」),④離縁又は縁組取消しにより養子は縁組前の氏に復す(民法808条・816条)ことが挙げられます。後者には,①生存配偶者の復氏による氏の変更(民法751条),②子が父又は母と氏を異にする場合に,父又は母と同一氏を称する場合の氏の変更(民法791条)などが挙げられます。この氏の変動に伴う戸籍の変動は,以下の(1)から(4)が前者の場合であり,(5)から(8)が後者の場合です。 夫婦は,夫又は妻の氏を称する(民法750条)こととされ,婚姻の際,相手方の氏を称する婚姻をするとき,つまり,婚姻によって氏を改める者は,その戸籍から除かれて新戸籍を編製するか又は既にある戸籍に入籍する(戸籍法16条1項・2項)ことになります。11

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る