ーヒータ4イコムコーヒータイム4 共同代表制度の廃止と定款 69 共同代表取締役制度が廃止され,登記事項ではなくなりましたが,会社法下においても,定款等により共同代表の定めをすることはできます。ただし,この定めは,善意の第三者に対抗することができないので,注意を要します。1 共同代表制度の廃止の理由等 旧商法下では,数人の代表取締役が共同して会社を代表すべき旨を定めることができ(旧商法261条2項),この定めが登記事項とされていました この共同代表制度の趣旨は,代表権の濫用を防止するためのもので,これを登記に公示することによって取引の安全を図ろうとしたわけです。 しかし,現実に共同代表の定めが登記されることは稀で,しかも,いったん登記されると,第三者が正当な事由によってこの定めを知らない場合を除き,善意の第三者にも対抗でき(旧商法12条,会社法908条1項),単独代表権を有すると信頼した取引の相手方との間で紛争の原因となることが多いと指摘されていました。 そこで,会社法では,この共同代表制度を廃止し,これを登記事項から排除することにしました。したがって,会社法施行前に共同代表取締役として登記されていた会社についても,会社法施行日以降は登記事項ではなくなりました。これらの共同代表を廃止する登記は,登記官が職権で行いました(共同代表執行役及び共同支配人についても同様に職権で廃止登記がさ2 会社法における共同代表についての理解 会社法においては,代表取締役は,会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有し(会社法349条4項),これらの権限に制限を加えた場合,善意の第三者に対抗することができないと規定されています(同条5項)。 そこで,会社法下においては,旧商法下の共同代表制度が廃止されたといえるわけですが,その反面,共同代表を禁止する規定もありませんので,定款等により,共同代表の定めをすることは差し支えないものと考え(旧商法188条2項9号)。れた。)。共同代表制度の廃止と定款
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