(試し読み)家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(第4版)
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5 分割の時期 Wの希望はかなえられない。Wの居住先を確保する必要がある。 パターン2について 土地の大部分が建物の敷地である場合には,この方法は難しい。 パターン4,5について 民法1022条と1023条は,遺言撤回の「方式に関する部分を除いて」死因贈与に準用されるから,死因贈与をした者は,同法550条の規定に関係なく,「いつでも」死因贈与の全部又は一部を撤回することができるので,死因贈与が撤回される可能性がある。裁判例80 最一小判昭和47年5月25日(民集26巻4号805頁) 「おもうに,死因贈与については,遺言の取消に関する民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。けだし,死因贈与は贈与者の死亡によって贈与の効力が生ずるものであるが,かかる贈与者の死後の財産に関する処分については,遺贈と同様,贈与者の最終意思を尊重し,これによって決するのを相当とするからである。」⑴ 分割の請求時期 遺産分割請求権は,消滅時効にかからないので,各相続人は,遺産分割の禁止がない限り,いつでも分割を請求することができる(民907条1項)。⑵ 分割の禁止① 遺言による分割禁止5 分割の時期 425 被相続人は,遺言で相続開始の時から5年を超えない期間内分割を禁ずることができる(民908条1項)。遺産分割の禁止は,被相続人による,「遺産は共有にしておけ」=「遺産共有関係を継続させる」意思の表明である。被相続人が生前に分割禁止の意思を表明していたとしても,遺言にしていなければ,本条による禁止の効力は生じない。 遺言による遺産分割禁止の期間が5年を超えている場合には,5年間の分割を禁止するものとして効力が認められる。ただし,共同

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