(試し読み)家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(第4版)
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×A甲乙丙 被相続人Aは,甲地(7,000万円),乙地(1,000万円)及び丙地(1,000万円)という3筆の土地を所有していたところ,相続人の一人であるBに甲地を相続させる旨の特定財産承継遺言をした。 上記遺言をどのように解釈するべきか。【実 務】 特定遺産が当該相続人の法定相続分を超えている場合には,遺言者が当該相続人に特定遺産を他の共同相続人に優先して取得させることを意図して特定財産承継遺言をするものであるから,超過分の調整を予定していないとみるのが合理的な解釈であると考えられる。したがって,超過分について代償金を支払うことなく,特定遺産を取得することができる。3 特定財産承継遺言で特定相続人に取得させるとした特定遺産と法定相続分の割合の関係 535(被相続人)遺言「甲地を相続させる」BC7000万円1000万円1000万円⑵ 特定遺産が法定相続分の割合を超える場合(①の場合) 特定財産承継遺言がされた場合において,特定遺産が当該相続人の法定相続分を超えるときは,相続分の指定を含む遺産分割方法の指定とみるべきである。設例21−1【解 説】 Bは,法定相続分の割合を上回る甲地を取得するので,遺言者Aの通常の意思としては相続分の指定を伴っていると解される。 「相続人の一人Bに甲地を取得させる」という遺言において,その不動産の価額が,相続財産全体の価額中に占めるBの法定相続分を超える場合には,遺産分割に当たって甲地はBが取得するという遺産分割方法の指定とBの相続分の指定の双方を含むと解される。⑶ 特定遺産が法定相続分の割合を下回る場合(③の場合) 遺言者が相続分の指定を併せていたか否かについては,その旨を遺言特定財産承継遺言の解釈

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