新成年後見における死後の事務
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1 改正法概説第1章死後事務に関する改正法(民法873条の2)について3はじめに 平成28年に民法典に,873条の2が追加されて,後見に関して,いわゆる死後事務を行うことが法的に可能となりました。 以下の検討では,まず初めに,立法担当者と法務省による改正条文の解説を参照にしながら,立法で意図したと思われる解釈を明らかにします。ここでは改正法の趣旨を,立法担当者,法務省の見解をもとにして,改正法(円滑化法)の趣旨を概略することを試みることにします(後述1)。 続いて,後見における「死後事務」とは何かという問題意識のもと,改正法を理論的に分析し,その問題点を明らかにし,それを修正したり補ったりして,筆者の解釈論を展開しようと思います(後述2)。今回の改正法には,不明瞭な箇所があり,また相続法の基礎理論からは,解釈上問題と思われる点も散在しており,主として,それらについて考察を行うことにします。 成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が,平成28年4月6日に成立し,4月13日に公布され,平成28年10月13日に施行されました。後見における死後事務1)に関して,民法典に873条の2が設けられました2)。 理論的には,被後見人の死亡と同時に法定後見が終了し,被後見人の権利義務は相続人に帰属し,後見人はもはや法定代理権を有さず,被後見人の代第 1 章 死後事務に関する改正法(民法873条の2)について

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