新成年後見における死後の事務
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2 病院費用の支払が認められる要件について51ます。成年被後見人にかかった病院費用,つまり治療の甲斐なく死亡した時の治療費や,たとえ月々入院費用を支払っていたとしても死亡した月の入院費用は,成年被後見人の死亡後,未払いのまま残っています。病院は,多くの場合,①その場ですぐに,あるいは,②しばらくしてから,成年後見人に対して,その支払請求をします。病院は,そして遺族も,①・②いずれの場合でも,成年後見人が成年被後見人の財産から支払うのが当然のように思っています。成年被後見人が長期にわたり入院していた場合は,それまで成年後見人が病院費用を支払ってきたものの,成年被後見人死亡により,成年後見人は病院費用を支払う明確な根拠をなくしてしまうのが円滑化法施行までの状況でした。しかし,民法873条の2が新たに規定され,成年後見制度の3類型のうち,後見類型のみは,成年被後見人が死亡した場合において,必要があるときは,成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き,相続人が相続財産を管理することができるに至るまで,病院費用の支払が認められることになりました。 円滑化法では,後見類型に限り成年被後見人死亡後も一定の要件を満たせば弁済期が到来している相続財産に属する債務の支払が後見人の権限に含まれることが規定されました(民873条の2第2号)。また,この支払には家庭裁判所の許可は不要であるとされています(民873条の2)。そして,相続財産に属する債務の例として病院費用が挙げられています1)。 病院費用の支払が認められる要件は先述のとおりですが,これらの要件の詳細については,①「必要があるとき」とは,「例えば,入院費等の支払を請求されているが,成年被後見人の相続人の連絡先が不明である等の事情により,成年後見人が支払をしないと,相当期間債務の支払がなされないこととなる場合を想定している。」2)とされています。 ②「成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなとき」とは「成年後見人が民法873条の2第1号から3号までに規定する事務を行うことについて,成年被後見人の相続人が明確に反対の意思を表示している場合であ第 1 章 病院費用の支払

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