新成年後見における死後の事務
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3 誰のお金で支払うのか4 病院費用の範囲について53 さて,民法873条の2第2号に基づき,病院費用の支払をする場合,誰のお金で支払うのか考えてみましょう。立法担当者である盛山正仁氏の「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の概要」8)によると「本改正により,民法873条の2を新設し,個々の相続財産の保存行為,弁済期が到来した債務の弁済,火葬または埋葬に関する契約の締結等といった一定の範囲の死後事務について,成年後見人の権限に含まれることを明らかにしたものである。」9)とあることから成年後見人の事務として権限を持って行う行為となります。そうであるならば民法861条2項で「後見人が後見の事務を行うために必要な費用は,被後見人の財産の中から支弁する。」と規定されているので成年後見人が管理している成年被後見人の財産から支払うことができると筆者は考えます10)。また,支払にあたり預貯金口座からの払戻しが必要な場合は家庭裁判所の許可が必要とされた11)ということから考えても成年被後見人の財産から支払うことができるという解釈になると考えます。 では,なぜ病院費用の支払にあたり成年被後見人名義の預貯金口座からの払戻しが必要になる場合は家庭裁判所の許可が必要となるとされたのでしょうか。これは,成年後見人が手元に多額の現金を保管することは考えづらく,手元の現金から病院費用の支払を行っても相続財産に大きく影響を与えることはないだろうということであり,反対に預貯金口座からの払戻しを無制限に許可なく可能であるとすれば相続財産へ大きく影響を与えることになりかねず,相続財産の保存という観点から逸脱すると考えているからではないでしょうか。 民法873条の2第2号の債務は成年被後見人が生存中に負った債務ですが12),病院費用には成年被後見人死亡後に発生した費用が含まれていないのでしょうか。死亡後のいわゆるエンゼルケアの費用,死亡診断書の費用は第 1 章 病院費用の支払

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