新成年後見における死後の事務
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58第 2 編 円滑化法と実務の対応16)幾代通=広中俊雄編『新版注釈民法⒃ 債権⑺』297〜298頁〔中川高男〕(有斐閣,1989)。17)大塚竜郎「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の逐条解説」民月71巻7号80〜81頁において「成年後見人が死後事務として相続財産の処分等を行った場合には,これにより相続人について法定単純承認の効果が生じてしまうのではないかが問題となり得る。判例は,相続人の法定代理人が相続人に代わって熟慮期間中に相続財産を処分した場合にも単純承認の効果が生ずるとしており(大審院大正13年7月9日判決),学説上も,『放棄ないし限定承認をするか否かの決定さえできる法定代理人が処分行為をしたのだから,その結果として単純承認の効果が生じてもやむを得ない』との説明がされている。もっとも,成年後見人は相続人に代わって死後事務を行うものとはいえ,相続放棄等をする権限は何ら有していないのであるから,成年後見人が死後事務として相続財産の処分等をしたとしても,相続人につき法定単純承認の効果は生じないものと解される。」としています。今後の学説,判例に注視が必要でしょう。18)松川・前掲注10)20頁・注22。〔荒川 拓己〕

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