新成年後見における死後の事務
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i推薦のことば 成年後見制度が2000年4月に施行されて以来,超高齢社会に突入した日本においては,制度利用者数は年々増加の一途をたどっています。また同時に核家族化,親族関係の希薄化等により,親族以外の第三者が成年後見人等に選任される件数も増加しており,現在,その割合は全体の約7割を超えています。 日本司法書士会連合会と全国各地の司法書士は,成年後見制度の施行当初から,制度の趣旨に則り,高齢者や障害のある方々が,住み慣れた地域の中でその方らしく穏やかな生活ができるよう,成年後見人等の担い手として活動してまいりました。 司法書士が専門職後見人等として活動する中で常に抱えていた課題が,成年被後見人等が死亡した後の事務です。従前,成年被後見人等の死亡後は,原則的に後見人等の地位は消滅するにもかかわらず,医療費の支払や火葬・埋葬に関する契約の締結など,いわゆる「死後の事務」を行うことを求められ,社会通念上これを拒むことが難しいという状況がありました。 日本司法書士会連合会の大学提携事業として設置された,大阪大学・松川正毅名誉教授と成年後見の実務経験豊富な司法書士をメンバーとする「成年後見分野研究会」では,「死後の事務」についての研究を積み重ね,その成果として「成年後見における死後の事務─事例にみる問題点と対応策」(2011年)を刊行されたところです。 その後,「成年後見における死後の事務」は,社会的にも大きな問題として取り上げられるようになり,「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(平成28年法律第27号・平成28年10月13日施行。以下,「円滑化法」という。)が成立し,民法873条の2が新設されることによって,一定の要件のもとでの成年後見人の「死後の事務」の範囲,内容及びその手続が明確化されました。 円滑化法により,「死後の事務」について一定の改善が図られたことは間違いありませんが,実際に実務を行う上で,いまだ解決が困難な問題がある推薦のことば

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