5_借契
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初版はしがき伊藤秀城字取り➡平成24年3月様々な民事調停事件の中で,借地借家法(旧借地法,旧借家法)に関する調停事件を担当していると,賃貸借契約締結時に色々な特約を設けていることがあり,その多くは賃借人のいわば負担となるようなものである。そして,当該特約の効力が問題になった場合,どのような方向性を定めて事件を解決していけばよいのかを■えているうち,特約の効力について判例等を知る必要性に迫られ,できる限りの判例をまとめてみようと思うに到った。そして,色々な特約を調べているうち,同じ特約でも借地と借家は■けて■える必要があるのではないかと思い,その意味において,本書は,基本的には,借地と借家の判例を区■している。実際の訴■事件や調停事件では,特に,土地の賃貸借契約において,先代から契約を■新してきてはいるが,契約書というものがないといった例が結構あり,事件をきっかけに改めて契約書を作成するということもある。また,■物の賃貸借契約において,作成された賃貸借契約書をみると,色々な特約が設けられており,今までの判例からすると,無効とされる可能性の高い特約もある。さらに,特約により,契約を解除できる様々な事由を特約で規定しているが,やはり無効ではないかと思われる事由が規定されていたり,抽象的で曖昧な事由が入っていることもある。また,敷引契約や■物の賃貸借における■新料の問題については,既に最高裁の判決が出されているが,すべての事案に当てはまるというものでもないし,これまでの下級裁判例の中には,今後の訴■事件や調停事件の解決に参■となる判例も多くあると思われる。本書の末尾には,和解条項と調停条項を若干挙げているが,実務で条項を作成する場合の参■となれば幸いである。最後に,本書の出版に当たっては,日本加除出版株式会社企画部の渡邊宏美さんに大変お世話になり,深く感謝するとともに心から御礼申し上げます。初版はしがきiii

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