5 ② 被害の申告,相談第1 ドメスティック・バイオレンス及び DV防止法を促した。現段階での同局による最新の調査結果は,2017年12月に実施した「男女間に お け る 暴 力 に 関 す る 調 査 」(2018年 3 月 公 表。 有 効 回 収 数( 率 )3,376人(67.5%),内訳:女性1,807人,男性1,569人)である。同調査によると,女性回答者の19.8%(男性回答者14.5%)が,「身体に対する暴行を受けた」ことがある(図1)。そして女性回答者の13.8%(男性回答者4.8%)が,「身体的暴行」「心理的攻撃」「性的強要」のいずれかを1つでも受けたことが何度もあった(図2)。そして,配偶者からの何らかの被害を受けたと回答した者のうち,女性の15.0%が命の危険を「感じた」と回答した(男性は3.1%)。DVを受けた人のうち,被害について誰かに打ち明けたり相談したりしたの は, 女 性 で57.6 %(男性26.9 %) で あ り,2012年 4 月 公 表 の 調 査( 女 性55.0%)より増加したものの,依然として被害女性の38.2%(男性69.5%)が相談していない。相談したという回答者も,相談先は「家族や親戚」(女性36.1%),「友人・知人」(女性33.0%)であり,「民間の専門家や専門機関(弁護士・弁護士会,カウンセラー・カウンセリング機関,民間シェルターなど)に相談した」は女性で3.7%にとどまる(このうち,弁護士への相談の比率は不明である)。DVについて「どこ(だれ)にも相談しなかった」理由で最も多いのは,「相談するほどのことではないと思ったから」で,58.2%である。DVを受けたときの行動として,女性は,「別れたい(別れよう)と思ったが別れなかった」が44.5%で最も多い。別れなかった理由としては,女性で最も多いの は,「 子 ど も( 妊 娠 し た ) が い る か ら, 子 ど も の こ と を 考 え た か ら 」(66.8%)で,次いで,「経済的な不安があったから」(48.9%)が多い。性別役割分業のもと,専業主婦,あるいは仕事を持っていても低賃金の女性は,夫と別れると,経済的に生活が立ち行かなくなる不安があり,DVに遭っても耐えていると推察される。
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