第3版 Q&A DV事件の実務
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2 安全の確保及び秘密の保持4第1 DVがある当事者間の諸手続1⑴ 裁判所に提出する書類DVを原因とする離婚手続等第4 第Ⅰ部 DV事件実務の基礎(保護命令申立書の記載事項については,59頁第3の5参照)。1 DVを原因とする離婚手続については,拙稿「DV被害者の代理人から見た実務の現状と課題」家庭の法と裁判16号50頁ないし52頁参照。DVを原因とした依頼者が離婚したいという場合も,原因にDVを含まない離婚の場合と同様,離婚するまでの婚姻費用,慰謝料,財産分与,未成年の子どもがいる場合は親権,養育費等について検討し,調停等の必要な手続を進めていくことになる。DVがある事案でも,交渉による協議離婚(民763条)が可能と判断した場合には,まず交渉に着手する。交渉での和解が困難な場合には調停,調停成立が困難な場合には訴訟提起へと進めていく。被害者に代理人がついていないときは,不均衡な力関係にある加害者と被害者が協議し,解決することは避けるべきである。協議自体が危険な場合もあるし,対等な協議が成立し難いからである。DV被害者の代理人となった際には,どのような手続でも,DV事案という特性を踏まえて,安全の確保及び秘密の保持等に細心の注意を払う必要がある。なお,民事法律扶助については,後述する(→245頁第9の5)。保護命令の申立て及び離婚手続等において,裁判所に書面を提出する際には,相手方も読むことを念頭に置き,住所の秘密保持などに十分注意する94

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