99 ④ 当事者目録⑵ 裁判所での手続の注意6 秋武憲一前掲書(116頁)には,保護命令が出ている場合,調停委員会としては,発令の経緯等を知るため,保護命令の決定書及び申立書等の写しを入手し,記録に添付するとよいとあるが,被害者側に代理人がついている場合は自ら提出すべきだろう。7 平成17(2005)年11月8日最高裁(訴ろ−2)「訴状等における当事者の住所の記載の取扱いについて(事務連絡)」第4 DVを原因とする離婚手続等た書面についても,資料説明書に記載する(非開示希望申出書を添付した書面については概括的な記載をすればよい)。資料説明書は,非開示にはならない。以上を踏まえると,マスキングでは対応できないものについて,提出しないほうが無難であろう。なお,裁判所にはなるべく,暴力当時ないし直近の客観的な証拠を提出するように努める。保護命令が発令されている場合には,その決定書と申立書を資料として提出するとよい6。繰り返しになるが,DV事件については,被害者の安全確保が大変重要であり,提出書面に秘匿している避難先の情報等を出さないよう,徹底すべきである。代理人弁護士としても,ヒューマン・エラーはつきものであると心得て,当然のことながら,事務員にマスキングを指示するとしてもそれで足りるとはせず,提出前に必ず弁護士にも確認してもらい,さらには被害者自身もマスキングが十分か再確認してもらうとよい。裁判所は,DV事案に限らず,犯罪被害者等で実際の居住地を知られると危害を加えられるおそれがあるなど,実際の居住地を記載しないことにつきやむを得ない理由がある旨の申出がなされた場合には,実際の居住地を記載しなくても訴状等を受け付けるとしている7。DV被害者も,実際の居住地を記載しなくても,訴状等を受理される。住民票上の住所を移動していなければその住所を記載する等の工夫をする。裁判所で,DV被害者が加害者と遭遇することのないよう,裁判所と十分打合せを行うとよい。
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