第3版 Q&A DV事件の実務
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Q 1A相談者の意思の確認Part 1 相談受付・受任時ほかnswerDV被害者からの相談を受けたら,まずどのようなことを留意すべきでしょうか。 相談者の意思を確認しつつ,十分な情報提供をしましょう。相談者や子のケアが必要な場合には,治療を促しましょう。今後の裁判手続に備えた準備を働きかけましょう。DV被害者である相談者が何を希望しているのか,意思を確認することが大切です。ひとまず別居したいのか,安全を確保したいのか,離婚したいのか,離婚の条件で譲れないところは何か,等について,確認しましょう。しかし,早急に聴き取ろうとしてはいけません。相談者が,DVにより自信を喪失し無力感を抱き,自分の意思すら見極められない場合もあります。「追跡されてもっとひどい暴力を受けないか」「今まで経済的に依存してきた夫から離れて生活していけるだろうか」「子どもは転校した学校で友だちができるだろうか」等悩みは尽きず,「結局は(子どもの生活のため)(経済的安定のため)自分さえ我慢すればいいのだろうか」「でも夫が怖いからやはり離婚したほうがいいのだろうか」と心は揺れ動きます。そのようなときに,決断できないことを責めてはいけません。また,アドバイスを押し付けないようにしましょう。相談者の話を受容的に聴いて安心感をもってもらいつつ,相談者が自分自身で問題点を整理し,解決に向けて行動ができるように,保護命令や離婚の手続等について十分に情報を提供します。危険性の程度を確認,安全確保のための助言相談者から,具体的な暴力の状況を聴き,危険性の程度や状況を確認します。危険性が高く,避難して安全を確保することが必要であれば,支援セン258第Ⅱ部 Q&A実務解説ポイント

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