第3版 Q&A DV事件の実務
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259Part 1 相談受付・受任時ほかターに一時保護を求めることを勧めます。相談者が実家に身を寄せる予定をしていても,かなり危険と思われる場合には,居所が明らかにならないよう実家は避け,一時保護を求めるよう助言します。支援センターと警察に相談し援助を求めること,保護命令の申立て方法等についても,適宜助言します。 治療や適切なケアを促す相談者が怪我をしている場合には,病院での診察治療を促します。もしすでに避難していて,避難先を秘匿したいけれども,加害者の被扶養者としての健康保険証で受診した場合には,追って医療費通知が加害者に通知され,避難先に近い医療機関が知られてしまうことになりかねません。避難先からは遠い医療機関に受診するか,早々に,独立した世帯として新たに国民健康保険に加入する手続をするよう勧めましょう(→Q43)。両親の間のDVは,子どもにとっても苛酷であり,悪影響があることが少なくありません。実際に,避難したDV被害者から,子どもが心身ともに不安定になっている旨の相談を受けることもあります。相談者に対しては,子どもが不安定になっていてもそれはDVの影響であり回復可能であると伝えましょう。それだけでも相談者は安心するはずです。子どもにもケアが必要と思われる場合には,児童相談所や子ども家庭支援センター等で行われているカウンセリング等の利用を勧めるとよいでしょう。証拠の保存保護命令の申立てにも,離婚や慰謝料を請求する場合にも,DVを立証する証拠の保存が必要です。過去にDVによる怪我等で受診した病院からの診断書,怪我の写真,加害者からの脅迫文言が書かれたメール等,証拠として取っておくよう助言します。相談日にはまだ傷跡が残っていたら,相談の場で写真をとってあげます。傷跡の部位と相談者の顔が1枚におさまるように撮るのが,ポイントです。離婚に伴って財産分与を請求する場合には,避難する際に財産関係の書類やその写しも持って出ることを勧めます。

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