第3版 Q&A DV事件の実務
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i第3版 はしがき第3版 はしがき初版から数えて6年半,改訂版からでも4年ほどという時間を経て,ここに第3版をお届けできることになりました。第3版のご依頼を頂戴したとき,本書へのニーズが依然としてあることを光栄に思いました。しかし,いざ着手してみますと,多数の裁判例の積み重ね,ストーカー規制法等法令の改正,あるいは国際的な動きの変化など補訂を施す部分が膨大であることを知り,圧倒されることが度々ありました。しかし,それを乗り越えた甲斐があったというのでしょうか,改訂版より一層お役に立てるものとなったのではないかと自負しています。DV防止法は被害者救済を目的とした重要な法律ですが,保護命令の申立件数を見てみますと2014年以降減少傾向にあります。本書を読まれる弁護士の方々にとり,保護命令の申立てを受任する経験はそれほど多くないかもしれません。しかし,いざというときに迅速に申立てができるよう,保護命令等に関する必要な知識を備えていただきたいと思っています。DV被害者,あるいはその加害者とされる側から離婚など家事事件の依頼を受けることは珍しくないでしょう。調停・審判・訴訟など手続ごとの注意点をより詳細に掲載しました。また,実務の傾向を的確に踏まえ,必要な資料・証拠を揃え,要点に絞った主張を展開し,適切な解決を迅速に実現できるための手がかりになるよう,努めました。加えて,同性カップル間におけるDV被害も看過できません。ところが,同性カップルの被害者について保護命令の申立てを消極に解する見解も散見されますことから,被害者救済を疎かにするような実務が定着しないよう,この点についても記載を充実させました。DV被害者の方々にとり,いきなり弁護士に相談を持ち込むということは容易ではありません。むしろ,各種行政の窓口,あるいは支援団体

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