第3版 Q&A DV事件の実務
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Q 2A家族法(民法第4編)・家事事件手続法・人事訴訟法nswer加害者の追跡の防止策,多面的な支援加害者の追跡が予定される場合には,あらかじめ警察に相談し,行方不明者届を受理しないように要請することを助言します(→Q26)。家を出た後の住民票の転出届については,DV被害者として市町村窓口に申し出ると,加害者やその代理人は,住民票や戸籍の附票の閲覧ができず,交付を受けられないことになっていますが,その支援措置も万全ではない点も伝えたほうがよいでしょう(→Q28)。その他,DV被害者は法的な側面だけでなく,子どもの転校・保育園や幼稚園転園,就職など経済的自立,生活保護申請等当面の生活費の手配,今後の住居等,生活の激変に伴い多面的な支援が必要です。支援センターや福祉事務所等関係機関と連携して,被害者の直面する多岐にわたる問題を十分支援する態勢を整えるよう努めましょう。DV事案を扱う際に必要な根拠法令・通達を教えてください。 家族法(民法第4編),人事訴訟法,家事審判法・家事事件手続法,DV防止法等のほか,各種通達を把握しておきましょう。DV被害者から,離婚したいとか,生活費に困っているといった相談を受けることは少なくありません。また,未成年の子どもがいる場合には,親権や監護権が争点となったり,子どもの引渡し請求が必要となることもあります。面会交流を求められたり,求めたりすることもあります。そのため,民法の第4編親族,いわゆる家族法の,離婚や親権に関する法律に精通している必要があります。また,調停や審判の申立人・相手方代理人を務めるためには,家事事件手続法及びその規則を踏まえる必要があります。離婚訴訟の代理人として事件を遂行する際には,人事訴訟法・人事訴訟規260第Ⅱ部 Q&A実務解説ポイント

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