第3版 Q&A DV事件の実務
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261Part 1 相談受付・受任時ほか則も把握すべきことは当然です。 DV防止法・ストーカー規制法・民事保全法DVの被害者として各種の援助を受け,また保護命令の申立てを行う際には,DV防止法・DV防止法施行規則の知識が必須です。離婚した後に暴力による被害を受けたり,あるいは,生活の本拠を共にしない交際相手からのDV(いわゆるデートDV),またはこのうちの一部を受けたりした場合で,DV防止法上の援助を受けられない場合には,ストーカー規制法を活用できないか,条文を検討しましょう。DV防止法の保護命令ではなく,一般の民事訴訟を本案とする面談強要禁止,架電禁止・はいかい禁止等の仮処分が必要になれば,民事保全法が必要です。 刑法・刑事訴訟法・犯罪被害者関連の法律DVにつき,刑事事件として加害者の処罰を求めたいときには,刑法(傷害罪,暴行罪,強制性交罪,逮捕監禁罪等)や刑事訴訟法・刑事訴訟規則を参照する必要があります。犯罪被害者のための基本的施策については,相談及び情報の提供,保健医療サービスの提供,安全の確保,居住の安定などを定める犯罪被害者等基本法を確認します。公判手続の傍聴,記録の閲覧謄写,被害者参加については,刑事訴訟法のほか,犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律を参照します。各種通知DV被害者は,警察に援助を求めたり,一緒に避難した子どもを通学させる必要があったり,今までの生活から切り離されて住居や仕事を探さなければならなかったりと,多様な問題を抱え支援を必要とします。また,DV被害者の安全を確保するために,その避難先の情報の取扱いには細心の注意をはらう必要があります。このように被害者の保護のためには幅広いニーズへの対応が必要なことから,内閣府,警察庁,厚生労働省,法務省,総務省,文部科学省,国土交通省から,それぞれ多岐にわたる関連通知が発出されています。これら各種通知は,内閣府男女共同参画局のウェブサイトに,省庁ごとに時系列でまとめ

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