第3版 Q&A DV事件の実務
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Q13nswer被害者の生活の本拠としての住居のある場所が埼玉県で,被害者の居所のある場所が新潟県であるときに退去命令の発令があった場合,地方裁判所からの通知は,埼玉県と新潟県のどちらの警察本部長に行われますか。 地方裁判所からの通知は,申立人の生活の本拠としての住居のある都道府県の警察本部長等に行われます。保護命令を発した裁判所は,申立人の住所等を管轄する警察に速やかに通知し,その管轄区内に保護すべき被害者又は取り締まるべき加害者がいることを知らせます(DV防止15条3項)。警察が速やかに取り締まりすることができるようにするためです。申立人の住居,勤務先その他通常所在する場所が複数の都道府県の区域に及ぶ場合,保護命令の内容の通知は,地方裁判所から通知を受けた警察本部長等から他の都道府県の区域を管轄する警察本部長等を経由して行うものとされています1。退去命令が発令されている場合は,相手方は効力発生後速やかに退去しなければならず,警察はそれを取り締まる必要があります。そこで,地方裁判所は,申立人の生活の本拠としての住居のある埼玉県の警察本部長に通知をします。埼玉県警に申立人の居所も連絡します2。埼玉県等本部長が新潟県警本部長を経由して,保護命令の内容の連絡を行うことになります。284第Ⅱ部 Q&A実務解説ポイント1 平成25(2013)年12月20日丙生企発第137号ほか「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律等の運用上の留意事項について(通達)」2 裁判所職員総合研修所『配偶者暴力等に関する保護命令事件における書記官事務の研究[補訂版]』(司法協会,2015年)40頁A

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