Q14nswer民事保全法の仮処分による接近禁止命令と,DV防止法の接近禁止命令ではどこが違うのでしょうか。 DV防止法の接近禁止命令は,刑罰により実効性が担保されている点が大きな特徴です。DV防止法制定以前は,DV被害者は,加害者の接近を禁止するため,民事保全法の仮処分を申し立てていました。しかし,仮処分命令には,民事上の効果しかないため,十分な抑止力が期待できませんでした。そこで,被害者の生命又は身体に危害を加えられることを防止するためには,刑罰で担保された命令を簡易迅速に発することができる制度が必要であるとして,保護命令制度が設けられました。民事保全法の仮処分による接近禁止命令と,DV防止法の接近禁止命令とは,緊急性という点から,以下の類似点があります。① 決定手続で,迅速な審理・裁判が要請されていること(DV防止13条)② 口頭弁論を経ないで決定する場合には,保護命令の決定理由についての要旨で足りること(民保16条,DV防止15条1項ただし書)③ 必要的審尋とその例外(民保23条4項,DV防止14条1項)④ 効力の発生時が早く,不服申立(抗告等)があっても左右されない保護命令では,相手方に対する決定の告知と同時に効力が生じ(DV防止15た時点で効力が生じ執行可能となります(民保43条3項)。しかし,保護命令は,家庭内での不平等な関係を背景に生ずる夫婦間の暴力から自己決定をも侵害されている被害者を公的に迅速に救済するというDV防止法の目的から,以下のような特色を有しています。ⅰ 迅速性を担保するため,保護命令自体が本案事件であり,別途本案訴訟というものはない。ⅱ 本案事件であるので,必要な証明の程度は,「証明」(裁判所が事実の存在に確信をもつ程度)であり,保全における「疎明」(一応確からしいと285ポイント条2項),民事保全では債務者に送達される前,申立人債権者に送達がなされPart 2 保護命令申立てA
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