第3版 Q&A DV事件の実務
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iii改訂版 はしがき改訂版 はしがき2012年に初版が刊行された本書は,思いのほか皆様にお読みいただき,このたび第2版が世に出ることになりました。そのことに驚きつつ,しかしとても嬉しく,感謝申し上げます。改訂に着手した当初は,その作業がこれほど大変とは,率直に申し上げて予想していませんでした。わずか2年半余の間に,DV防止法,ストーカー規制法が改正され,家事事件手続法,改正入管法が施行されました。また,国際的な子の奪取の民事面に関する条約(ハーグ条約)の実施に関する法律(条約実施法)の成立,施行とともに,ハーグ条約が発効されました。さらに,民法766条が改正され施行されたことを承け,面会交流について実務の傾向も従前より明瞭な方向性が打ち出されるようになりました。このような法律の改変等を反映して,行政担当部署より新たな通達も多数発出されています。DV被害者の救済を目的としたDV防止法に留まらず,必ずしもDV被害者救済だけを目的とはしてない法律等の改変の積み重ねが,DV被害者の直面する様々な問題解決のプロセスに,大きな影響を与えるようにもなりました。このようなことから,初版のままでは,変化する法律面,実務面に十分に対応することができないことに大きく気づかされました。そのことは,「多忙」を理由についつい後回しにしがちな私にとり,改訂作業への大きな原動力になりました。手続の透明性確保を目的とする家事事件手続法のもと,当事者には主体的な紛争解決が期待されています。一方,DV被害者にとって必須である安全確保にさらに注意する必要が出てきています。また,民法766条の改正を機に,子の福祉の観点から面会交流を禁止・制限すべき事由り,面会交流の実施に向けて審理・調整することが基本方針とされる実(実施がかえって子の福祉を害するといえる特段の事情)が認められない限

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