1■まずは話をよく聞くことから2■効率的に話を聞くために2第1章 離婚(婚姻)に関する法律相談 離婚相談は,夫婦間の問題であり,非常にデリケートな問題です。相談者は,通常であれば他人には話したくないこと,話しにくいことを話してくれるわけですから,他の法律相談以上に,相談を受ける側の話を聞く姿勢が重要となります。威圧的であったり,横柄な態度が言語道断であることは当然ですが,落ち着いて話のできる相談場所を用意するなど,相談者が話をしやすい雰囲気作りも大切です。 また話を聞くときには,相談者の話に対して,相談者を否定・批判するようなコメントは避けるべきでしょう。例えば,相談者が,いかに相手方から苦労させられたかというようなことを切々と話している時に,「相談者にも原因がある」「相談者にも悪いところがあったからだ」などということは,たとえ内心で思ったとしても言葉にしてしまえば,相談者との信頼関係を損なってしまいます。 相談者の話をよく聞くと言っても,相談者の好きなように話したのでは,争いの本質を理解できず,問題の所在を明らかにすることができません。相談を受ける側から,出会いは? いつから関係が悪くなったの? 思い当たる原因は? というように,主導的に質問を出して,それに対し相談者が回答するというスタイルで,会話のイニシアティブをとるようにすべきでしょう。 そのための一つの方法として,事前に出来事を時系列で記載したメモを作ってきてもらって,相談当日にそのメモを見ながら質問を投げかけ,それに対し相談者が回答する,という方法は,限られた時間で効率よく話を聞くことのできる一つの方法といえます。離婚に関する相談を受けるときのポイント
元のページ ../index.html#20