実例 弁護士が悩む家族に関する法律相談
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4■離婚訴訟を見据えた準備を5■離婚相談特有の難しさを忘れずに3■望む結果のために採るべき方策の提案3離婚に関する相談を受けるときのポイント 話を聞いて,相談者の要望をヒアリングできたら,その結果を獲得するための手段について提案をします。任意での話し合い,調停,訴訟等さまざまな方法から,そのためにかかる時間,費用等も考慮した上で,提案します。 裁判における離婚原因の有無については,個々の裁判官の価値観によるところが大きいので,具体的な判例を踏まえてアドバイスするとよいでしょう。 まず取るべき手段として,話し合いや調停を選択する場合であっても,将来的にその案件が訴訟で解決されることとなった場合に備えて,現時点で証拠の収集を指示します。離婚原因の存否が争われることに備えて,自分の心情や相手方の態度などを手書きで日記に記しておくよう勧めます。仮に相手方の暴力が問題となっているような場合であれば,診断書の取得や,怪我のデジカメ写真,時には会話の録音なども録れるのであれば録りたいところです。夫婦間で何が起きたのかは,第三者には知り得ないことであり,客観的な証拠がなければ裁判官に理解してもらうのは難しいということを銘記し,できる限りの準備を早い段階でする必要があります。 また,相手方の保有資産については,相手方が管理する財産に何があるか,どこの銀行の何支店に口座があるのか,株式の取引はないか,といったことは,別居してしまうとなかなか調べることが難しくなるので,同居中に調査をするようにします。 離婚相談は,双方の気持ちの絡む問題であることから,二つとして同じ事件はありません。そのケースごとに,相談者が今後どうしたいのか,話を十分聞いた上で,最善の策は何か一緒に探し,それを実現するという姿勢が重要です。例えば,裁判で相手方から離婚を求められているが,離婚

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