実例 弁護士が悩む家族に関する法律相談
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第1章 離婚(婚姻)に関する法律相談号)は,性的関係(姦通)に限定して解釈されていますが(最判昭48・11・15民集27巻10号1323頁。狭義説),貞操義務に忠実でない一切の行為として5号の適用)を認めたときとなります。(東京・大阪養育費等研究会「簡易迅速な養育費等の算定を目指して─養育費・10COULMN 離婚原因にいう「配偶者に不貞な行為があったとき。」(民法770条1項1姦通に限定しない説も有力です(広義説)。 不貞行為を姦通に限定する狭義説によれば,姦通があっても離婚請求を認めないのは,裁判所が「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき」(民法770条2項の適用)に限り,姦通に至らない行為によって離婚を認めるのは裁判所が「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項 ただ,離婚原因として不貞行為を主張するにしても,相手方が不貞行為を否認する場合には,その証明が必要です。よく「行列のできる……」などで知識を得た奥さんから,「夫は浮気しているので離婚したい,離婚できますよね。」などと相談を受けますが,大体夫は浮気を認めません。その場合奥さんが夫の浮気を証明する必要があります。 きわどい内容のメールのやりとりだけでは「浮気」の証明としては不十分です。現場の写真を要求することは性質上無理でしょうが,せいぜい,ホテルに2人で入って相当の時間出てこなかったとか,夜女性のマンションに入って翌朝出てきた程度の証拠は必要です。⑷ 養育費の相場の説明 本件では,B女は,長女の養育費の請求もしてきました。 養育費については,A男とB女の収入を,「養育費・婚姻費用の算定表」婚姻費用の算定方式と算定表の提案─」判タ1111号)に当てはめて算定されること,基本的には長女が成人に達するまで支払い義務があることなどを説明しました。 A男は,現在の収入は550万円だが,来年度からは約500万円に減額されることになっている,というのでその旨の主張もすることにしました。コラム①「離婚原因としての不貞行為」

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