5 おわりに70第1章 離婚(婚姻)に関する法律相談 上述しましたように,婚約の成立が認められるためには,「男女の睦言」以上の誠心誠意の確実な約束があったと言えるだけの具体的客観的事情が必要ですから,そういった事情がなかなか認められない本件では,婚約が成立しているとはいえません。しかし,在学中から交際をし,その間には妊娠中絶も経験した女性からすれば,男性側のいわば一方的な心変わりは許せない,という心情もある程度理解できるところであります。この場合,婚約は成立していないと法律論だけで女性の申出を拒絶するのではなく,女性の心情にも配慮しつつある程度の解決金を交付することは,早期解決のためにも必要なものといえるでしょう。 以上,簡単ではありますが,婚約の不当破棄について具体的事例に基づいて紹介いたしました。【プライバシー保護のため事例の内容は変えております。】
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