348第9章 成年後見・高齢者に関する法律相談ン(時価800万円相当)のみです。この場合,Bは死亡保険金3,000万円とCOULMN Aさんは,自らを契約者兼被保険者,死亡保険金3,000万円,保険金受取人を長男Bとする生命保険契約を締結しています。 その後Aさんが亡くなり,法定相続人は長男Bと長女Cの2人です。⑴ Aさんに5,000万円以上の借金があったため,BCとも相続放棄しました。この場合,Bは,死亡保険金3,000万円を受け取れるでしょうか。 保険金の受取人をBとしている場合は,この保険契約は「第三者のためにする契約」となり,Bは,相続としてではなくBの固有の権利として保険金を受け取ることができます。 したがって,Bが相続放棄をしても,死亡保険金3,000万円を受取ることができます。⑵ Aさんの財産は,受取人をBとする生命保険のほかは,中古マンショ中古マンションの持分2分の1を受け取り,Cは中古マンションの持分2分の1しかもらえないとすると,BC間に不公平が生じますが,CはBにどのような主張ができるでしょうか。 この場合,生命保険金は相続財産ではありませんので,Cは遺留分減殺請求権をBに対して行使することはできません。 では,Bの受け取る保険金を特別受益として持戻しを求めることはできないでしょうか。 判例(最決平16・10・29判時1884号41頁)は,共同相続人の1人又は一部を受取人と指定した養老生命保険について,原則として特別受益に含めないとしつつ,そのことによって共同相続人間の不公平の程度が民法903条1項の趣旨に照らし到底是認することができないほど著しいと評価すべき特段の事情がある場合は,特別受益に準じて持戻の対象となるとしています。 ただし,特別受益性が認められた場合であっても,被相続人が持戻し免除の意思表示をしているときは,それに従うことになります。したがって,Aさんが持戻し免除の意思表示をしているか,仮に明確な意思表示をしていなくとも,諸般の事情を考慮してAさんに持戻しを免除する黙示の意思表示があったと認められるのであれば,CはBに持戻しを求めることもできなくなります。コラム⑱「生命保険の受取人指定と相続」
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