実例 弁護士が悩む家族に関する法律相談
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1 離婚原因351⑴ 有責配偶者からの離婚申立て司会:本日はお忙しい中,お集まりいただきましてありがとうございました。それでは,早速ですが,「離婚に関する弁護士実務」をテーマとして,座談会を始めさせていただきます。 早速ですが,「離婚原因」の問題からお話をお伺いしたいと思います。 まずは,有責配偶者から「離婚をしたい」との相談を受けた場合ですが,その依頼者自身に不貞の事実があることは,多分,事前の相談などで分かることも多いと思います。しかし,調停などを申し立てるに際して,こちらからそのことにどの程度まで触れていくべきか,不利を承知の上で最初から正々堂々とやるのか。 つまり,有責であることについては,依頼者から説明を受けたけれども,相手方が知らない場合に,弁護士として,そこに触れるかどうか,非常に迷うところと思いますが。いかがでしょうか。A弁護士(女性):これは,弁護士倫理の問題との関係はどうでしょうか。普通,本人は,有責だということは否定するじゃないですか。例えば,離婚したいと言っている旦那さん自身に,本当は不貞行為があるんだけど,相手方の奥さんの方から「不貞行為がある」と主張されても,「いえ,そんなことはありません」と言うのが,普通だと思うのですが……。そこで,実は弁護士として,交際している女性がいることを知っている場合に,それでも不貞行為はしていませんと否認することは弁護士倫理に反するでしょうか。B弁護士(男性):触れないのはあり得ますけど嘘をつくというのは……。まあ,訴状で書く必要はないと思いますけど,向こうから質問された時に,それを否認することは,やはり駄目でしょう。A:嘘をついてはやはり真実義務違反になるということですよね。それでは相手から質問された場合は,どうするのですか?B:それは認めるしかないでしょう。認めた上で,事実をどう評価するかという書き方のところで,まあいろいろ工夫はするんでしょうけれども,離婚に関する弁護士実務

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