実例 弁護士が悩む家族に関する法律相談
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1推薦のことば推薦のことば 離婚,DV,親子関係,遺言・相続,成年後見等のいわゆる「家事事件」は,一般の民事事件とは異なり,家族間の感情的問題を内包している場合が多く,事件を受任する弁護士は,法的な側面での対応のみでなく,依頼者の心情面も推し量りつつ,問題の解決にあたることが必要になります。そのため,依頼者の話の聴き取りや解決方法の選定にあたっては,細心の注意を払い,依頼者の望むことをよく把握した上で対応することが求められるところです。 本書は,弁護士会の運営する「家庭法律相談センター」において実際に相談を担当し,家事事件の経験豊富な弁護士が集まり,それぞれが取り扱ってきた事例をベースに,家事事件における弁護士実務の解説を試みたものです。家事事件は,事件の当事者それぞれに固有の事情があるため,なかなか,一筋縄で解決できる性質のものではありませんが,本書では,事例を通して「弁護士が直面しやすい問題や疑問」を洗い出し,担当した弁護士がどのように考えて対応したかを示すことで,事件解決のノウハウを解説することをそのコンセプトとしています。 したがって,収録している26の事例では,判例や法令に基づく解説のみでなく,事情聴取の方法や外部機関の活用方法など,難しい問題に直面したときに採るべき方策が示されており,既存の事例解説とは一線を画した内容となっております。また,座談会においては,「離婚」及び「遺産分割」の2つのテーマを設け,事例にて収録できなかった特殊な問題を中心に,それぞれの経験の中でどのように対処してきたかが議論されており,今後の弁護士実務における重要な示唆がなされています。 児童虐待やDVに関する報道を目にする機会が多く,家族に関する問題が複雑化する昨今ではありますが,本書が,家事事件を取り扱う弁護士の

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