実例 弁護士が悩む家族に関する法律相談
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352座談会①積極的な嘘というのは駄目だと思います。司会:依頼者と打ち合わせをしている時に,何かそんな話が出てきそうな微秒な雰囲気になったとき,心の中で「聞きたくないからその話はやめてくれ」と。口には出せませんが。(一同笑)B:普通にそんなことってありますよね。司会:あります,不貞行為に限らず。しょっちゅうある。B:ここから先はもう聞きたくないと。C弁護士(女性):聞いた以上は,弁護士としては嘘はつけないですよね。過去に,不貞行為の有無の問題ではなく,財産分与の問題だったのですが,相手方からこういった財産があると指摘されたことがありまして,それが正しいかどうか依頼者に尋ねたところ,「先生,実は私,この口座以外に手元に現金が500万円以上あるんですが……」と言われてしまって。「それは聞いてしまった以上は,やはり相手方に言わざるを得ませんね」と言ったら,「そうですね」ということで納得はしていただいたのでよかったのですが。司会:それでは,有責であることを話してしまった依頼者が,それを「調停の時に言わないでくれ」と言った場合はどうしますか。B:それは,他の弁護士を紹介するということに。司会:そうなるかなあ。そう簡単に依頼者を突き放しちゃっていいかなあ。「今度頼む弁護士には,その話はしない方がいいですよ」とでもアドバイスしますか。D弁護士(男性):これについては,財産分与であれば,その事実はかなり明確だと思うんですね,言っている以上は根拠があると思うので。ただ,有責というか,不貞とかというのは,ある意味では評価になるから。交際相手がいるからといっても,関係の程度で,不貞になるかどうかも違うものですから。だから,必ずしも言わなくてはならないというものでもないかと。財産分与は,本当にあるかどうかという事実の存否の問題だけですが,不貞かどうかは評価になりますから。司会:評価か,確かにそうですね。不貞行為は,狭い意味での男女関係で,単に話し相手の付き合い,経済的な援助だけの場合,もっと言えばプラ

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