1_自転車
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通行する自転車は,右側を併走する車両を追い抜く際に,進路を変更する必要はなく,したがって追越し(道路交通法30条3号,2条1項21号)をする必要はないと考えられる。そして,本件交差点付近に横断歩道が設置されていないことからすれば,本件交差点付近において自転車通行帯から自転車横断帯を直進する自転車は,必ずしも追抜き自体を禁じられているとはいえない(道路交通法38条3項参照)。 そして,被告車両が本件交差点内で一旦停止して先行自転車の通過を待ったことからすれば,先行自転車に続いて走行していた亡Aからすれば,被告車両が進路を譲ってくれたものと誤解することも十分あり得ると考えられる。 (3) 以上の検討からすれば,被告車両が左折の合図をしており,警告音も併せて左折のため発進する予定であることが容易に予想されることから,亡Aに落ち度がないとまではいいがたいとしても,被告車両が先行自転車に道を譲っていることや,追い抜き自体が禁じられているとはいえないことのほか,本件自転車が自転車横断帯を走行していたことや,被告Y1が左折再開時に左後方を全く確認していないことを考慮すれば,これを理由に過失相殺をするのは相当でない。」第9 車 対 自転車 269

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