1 対 象はじめに 1 このマニュアルは,当初は,主として弁護士登録後5年くらいまでの弁護士を対象として作られた。過疎地の公設事務所(ひまわり基金法律事務所)や法テラスの常勤スタッフとして赴任するため,オンザジョブの研修を受けている弁護士を念頭に置いたものだった。 筆者が都市型公設事務所の所長になった以降受けた法律相談は,8年間弱の期間で2,500件に上る。法律相談センターでの法律相談,法テラスの法律相談,顧問先からの法律相談,旧来の依頼者やその知人からの法律相談など相談の契機も様々である。そうした中で,一般の法律相談の典型となるのは,その相談者と初めて会う機会に受ける「初回市民法律相談」であろう。初対面の人から何を聞き,弁護士がそれにどう答えるのかは,経験年数の浅い弁護士にとって,最初の大きな関門となる。「初回市民法律相談」を受ける弁護士は,どのように相談を受けたらよいのか,という問題意識から法律相談マニュアルを作ってみた。 今回,出版に当たり,弁護士として相当年数の経験を有する人,弁護士以外の法曹関係者,法科大学院の院生,法律相談の業務を行う消費者センターの職員,その他一般の読者も想定し,なるべく分かりやすいものとなるように改めた。弁護士が受ける法律相談とはどういう相談か,その相談をどのように受け止め,どのような回答・説明をしたらよいのか,相談を受けた後,相談者自身や弁護士はどのように問題解決に当たっていけばよいのか,などを説明している。弁護士でない読者にも参考になると思う。はじめに
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