3 法律相談の大切さはじめに 3にわたるものであるため,理念的,抽象的な表現が多く用いられている。それを補うため,なるべく事例を多く取り上げるようにした。 このマニュアルは,有料法律相談(初回市民法律相談)を念頭において作成されている。 法律相談の中身は,実に様々である。医療に例えるなら,急性疾患も慢性疾患もある。重症のものも軽症のものもある。病気と言えないものすらある。すぐに手当をしなければ手遅れになるものも,当面は静観してかまわないものもある。これらを30分間の相談の中で見分け,当面の処方箋を示さなければならない。 ただ1回の法律相談の結果により,その紛争が終息に向かい相談者の権利や正当な利益が守られることもあるし,逆に,紛争が拡大したり,相談者の権利行使が(事実上)できなくなってしまうこともある。 相談者は,30分間5,250円の相談料を払い,弁護士のアドバイスを求めて相談に来ている。その多くは,弁護士に初めて相談する人たちである。その求めに的確に対応することは,ベテランの弁護士にとっても生やさしいことではない。 法律相談を受けるに当たっては,1回,30分間の相談の中で,弁護士が何をつかみ,その事案の解決に向けどのような方針を立て,何を相談者に伝えるのかを判断し,的確にそれを伝えなければならない。その場限りの相談で終了し,その後は相談者のみが対応することになっても,重大な結果を惹じゃっきないように,相談を完結させることも大切である。 本書では,法律相談がどのような形で行われ,それにどのように対応するのかを,読者の参考になるように,できるだけ具体的に提起したつもりである。起することの
元のページ ../index.html#15