2 法律問題を解決することを目的としていること2 法律問題を解決することを目的としていること 7 弁護士法第25条は,弁護士が「職務を行い得ない事件」の類型を掲げ,「相手方の協議を受けて賛助し,又はその依頼を承諾した事件」について弁護士がその職務を行うことを禁じている(弁護士法第25条第1号)。 「協議を受けて」とは,「当該具体的事件の内容について,法律的な解釈や解決を求める相談(法律相談)を受けることをいう。」と解説されている(日本弁護士連合会調査室「条解弁護士法第4版」191頁)。「賛助」するとは,「協議を受けた当該具体的事件について,相談者が希望する一定の結論(ないし利益)を擁護するための具体的見解を示したり,法律的手段を教示し,あるいは助言することをいう。」と解説されている(同前191頁)。 法律相談であっても,具体的な事件についての相談を受け,これに対応して法律的な判断を示したり事案を解決するためのアドバイスをしたときは,「協議を受けて賛助し」たものと評価される場合がある。その場合,その案件については,相手方から事件を受任し職務を行ってはいけないとされている。弁護士法第25条第1号に該当するケースでは,「依頼者が同意した場合」(弁護士法第25条本文,第3号,第9号)であっても「職務を行ってはならない」という禁止が解かれることにならないので,注意する必要がある。 ある事件を受任している場合,その相手方から他の法律相談を受けて賛助することも,弁護士法第25条第3号の規定により,禁止される「職務を行う」ことと評価される場合がある。 法律相談は,相談者(依頼者)が法律問題を解決するためにするものである。 法律相談を受ける弁護士は,生の事実の中から法律問題を抽出して整理し,解決の方向を示すことが期待されている。 (認定)司法書士が有料で法律相談を受ける場合や,自治体などの各種相談員が(利益を得る目的がなく)無料で法律相談を受ける場合は弁護士法第74条の規定は適用されない。
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