13_弁仕
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8  第1 法律相談とは何か,相談者は何を求めて法律相談に来るのかを理解する検討 2-1 他人から暴力を振るわれた場合 法律問題でない人間関係,感情,宗教上の信仰,精神の病からくる妄想などを法律問題として解決することはできない。 法律相談,法的手続による問題解決の限界をわきまえること。ア 生の事実から法律問題を整理する 法律相談を受ける場合,相談者(依頼者)が生の事実について何を求めているのかを把握し,それを法律問題として整理し,その解決に向けたアドバイスをすることが求められる。 他人から「暴力」を振るわれたという事案は,暴力(暴行)を受けたという事実の結果から出発する。 被害の回復という点から見れば,(不法行為による)損害賠償請求という法律問題となる。 被害者が求めるものが「加害者からの謝罪」である場合もあるし,刑事事件としての「処罰」である場合もあるし,「再発の防止」という将来に向けた課題である場合もある。 暴力を離婚原因として「離婚」を求めるのであれば,離婚請求又は離婚に伴う慰藉料請求という法律問題になることもある。 相談者が生の事実について何を求めているのかを把握した上で,法律問題として整理し,その解決に向けたアドバイスをすること。イ 相談者の語る事実からそのまま法律問題を整理できない場合もある 多くの相談者は,その事案において自分が求めていることの要点を認識して法律相談の場に臨んでいるので,弁護士は,相談者の求めることを踏まえ,事案の内容を聞きながら法律問題としての整理をしていく。 しかし,相談者(依頼者)の中には,自分が求めていることを明白に認識⑴ 生の事実から法律問題をつかみ取ること 相談者が訴える生の事実の中で,何がその事案の法律問題であるのかをつかみ取ること。

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