検討 2-4 リフォーム詐欺など2 法律問題を解決することを目的としていること 11 (検討2─3とは逆に)相手方の行為が詐欺行為に該当することを正面に掲げ,法律相談に対応した方がよい場合がある。いわゆるリフォーム詐欺やマルチ商法,投資詐欺に該当するような事案については,端的に「詐欺」の法律構成をし,対応するべきケースが少なくない。 次の例は,工事業者が60歳代の女性の自宅を訪問し,建物のコンクリート基礎の補強工事と白蟻消毒の工事をした方がよいと持ちかけ,約230万円の契約をさせ,その1週間後,さらに床下防湿工事を約100万円で契約させたケースだった。工事は,多少行われていた。 代金(330万円)はまだ支払っておらず,工事途中の時期に同居している息子に相談し,消費者センターを経由して法律相談に訪れた。相談者は,工事業者が自宅に来ることを恐れ,自宅から外へ避難する状況にあった。 事情を聞いた段階で直ちに対応する必要があると判断し,その場で,弁護士から通知を発すること,代金の支払をしないようにすることを話し,弁護士名の通知をする費用として2万円を受領し,同日,会社あてに通知をした。され,資金の拠出を受ける人(相手方)について実際以上に信用させるための話がされることは多くある。その程度が通常の金銭貸借や出資,取引における場合よりも著しいと感じられる場合に,理屈で覚えた「詐欺」(民事,刑事)という概念を使って事案を整理すると楽に整理できてしまう。 しかし,実務上,詐欺罪(刑法第246条)の告訴や,詐欺を理由とする法律行為の取消し(民法第96条),不法行為である詐欺を理由とした損害賠償請求(民法第709条)は,(裁判所などに)その事実を詐欺として認めてもらうためのハードルが相当に高い。 また,詐欺(民事,刑事)が成立する場合には,相手方(加害者)の資力が無いことが多い(資力が十分にあれば詐欺は成立しにくい。)ため,詐欺の主張がようやく認められても,損害の回復(出資金の返還や貸金の返還,損害賠償請求)には役立たないことが多い。 相談者(依頼者)の話に引きずられて,無理筋で「詐欺」の法律構成をしてしまうと,実際に手続を進める段階になって,もがいてもはい上がれない「あり地獄」に落ち込んでしまうことがある。
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