13_弁仕
25/32

検討 2-5 権利濫用,信義則違反,行政法規違反など2 法律問題を解決することを目的としていること  13れており,契約書記載の228,000円の3分の1以下とされています。また,コンクリート補強工事については,工事単価が極めて高いことのほか,Xが希望した外部基礎の補修もなされておらず,換気扇が取り外されたままの状態であり,このような工事を行う必要があったとは考えられないものとなっています。 当職は,この書面において,「白蟻消毒」について75,600円と算定し,その他の工事によりXが得た利益を約12万円と算定し,合計20万円についての利得があったものとして,会社あてに支払う用意のあることをお伝えするとともに,それ以上の請求をされるのであれば,会社において訴訟ないし調停の手続をとるべきことをお伝えし,回答といたします。 用件のみ(その後の経過) その後,1年近く過ぎて,A社の代理人である別のC弁護士が連絡をしてきた。交渉事件として事件を受任し,「白蟻消毒」の工事は行われていたことなどを考慮し,合意書を交わし20万円を支払い,事件処理を終了した。 事案を整理する場合に,権利濫用や信義則違反(民法第1条)などの一般条項,詐害行為取消権(同法第424条),(要素の錯誤による)錯誤無効(同法第95条),(通謀)虚偽表示(同法第94条第1項)など,実務上その主張をしても容易に認められない法律構成をして法律問題の整理をしてしまうと,「詐欺」の法律構成をした場合と同様,その事件を受任した後に大変な苦労をすることが多い。 また,相手方の行為が行政法規(行政手続に関する法令など)に適合しない(違反する)ことが直ちに当事者の権利関係に影響を与えるとは言えず,相談者の受けた権利侵害の法律要件を基礎付ける事実とはならない場合がある。民事法上の法律問題と行政法上の法律問題を区別して整理し,不法行為などの法律要件を充足する事実があるかどうかを検討していかないと,民事法上の権利の主張をする場面で,大きな壁にぶつかってしまう場合もある。草々

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る