第1編はじめに本書は,最初に,□通事故に基づく損害賠償請求権に対する消滅時効の援用に関する裁判例を挙げているが,示談について,当事者双方の折り合いがつかず,そのうち時効期間が経過したり,被害者の症状が固定したにもかかわらず,そのまま治療を継続しているうちに,時効期間が経過してしまったりするなど,意外と消滅時効が問題になる例が多い。また,代車料を請求してくるケースも多く,代車として相当な車種なのか,その代車□用期間は相当であるのかなどの問題も多い。さらに,営業として車を□用していた場合には,事故による休車損について請求してくるが,遊休車の存在など,当該請求内容が相当かどうかの判断をする必要がある。評価損については,どういう場合に認めているのか,認める場合にもどの程度認めているのかなど色々と問題が多い。以下,民法724条の趣旨を含め,これらの問題等に関する判例を挙げてみた。なお,□民法の一部を改正する法律□(平成29年法律第44号)は,2020年4月1日から施行されるが,後述するように,現行民法724条が改正され,□人の生命又は身体を害する不法行為□の一つである□通事故の損害賠償請求権が,□損害及び加害者を知った時から3年□とあるが□5年□と長くなり,不法行為の時から□20年□とあるのは,判例によると□除斥期間□と解されていたが,□消滅時効期間□であることを明らかにした。(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)現行民法724条不法行為による損害賠償の請求権は,被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行□しないときは,時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも,同様とする。(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)改正民法724条不法行為による損害賠償の請求権は,次に掲げる場合には,時効によって消滅する。1被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行□しないとき。2不法行為の時から20年間行□しないとき。□通事故に基づく損害賠償請求権と消滅時効
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