英基
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6⑶ 強行法規(規定)と任意規定を理解しよう 以上見てきたように,簡単にいうと,「契約自由の原則」によって,契約当事者で合意された契約は尊重されますが,取締法規違反等の場合に例外的に無効とされる場合もあります。ここで,少し難しい言葉ですが,強行法規(規定)と任意規定について説明しておきましょう。もう少し分かりやすくいいますと,契約と法律(民法や取締法規)との関係ということになります。 強行法規(規定)とは,簡単にいうと,締結された契約に法律違反があった場合に契約の内容を修正したり,契約自体を無効にしてしまうということです。契約の内容を修正したり,契約自体を無効にしてしまったりすることができる強力な法律のことを強行法規(規定)とよびます。たとえば,労働基準法で労働時間や休日や有給休暇の規定がありますが,これらは強行法規(規定)ですので,たとえば1か月間休みも取らずに1日12時間働きますという雇用契約が締結されたとしても,これらの労働時間や休日の強行法規(規定)が適用されて,その限度で雇用契約の内容が修正されます。 それに対して,任意規定とは,たとえば民法に,売買の目的物の売主の契約不適合責任の規定があります。この契約不適合責任の規定に反して,たとえばこの責任を排除する契約を締結することは許されています。ところが売主の契約不適合責任について契約書で何も書かれていない場合には,この民法の規定が補充的に適用されて売主の契約不適合責任が契約当事者間で有効に適用されます。こうして,契約当事者間でその適用を排除できたり,あるいは,契約当事者間で特に合意がされていない場合に補充的に適用される法律の規定のことを「任意規定」とよびます。 損害賠償責任に金額制限をつけるかどうかについても,法律では特に上限を決められていませんので,契約当事者間で特に上限の合意がされていないと青天井になりますので注意が必要です。基礎知識編

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