第2版 弁護士・社労士・税理士が書いた Q&A 労働事件と労働保険・社会保険・税金
56/74

〈長崎地判平成30年6月8日〉〈長崎地判平成30年6月8日〉①解雇を訴訟で争い,会社が労働者に一定の「解決金」を支払う等の内容で和解が成立②会社は「解決金」が退職手当にあたるとして,労働者に対し,解決金から所得税と住民税を控除した残額のみ支払い③労働者は,「解決金」の全額が払われていないため,和解調書に基づき,解決金と支払額の差額をもとに強制執行の申立てをし,裁判所は債権差押命令を発令④会社は,支払うべき金員はすべて支払っているとして請求異議の訴えを提起上記の経過をたどった事案で,解決金に退職所得の性質があり会社の源泉徴収義務があるかが争点とされました。裁判所は,解決金の法的性質について,訴訟を終了させるために支払われる金員という以上にその法的性質を確定することは事実上極めて困難であることを理由に,解決金が退職所得の性質を有していたとは認められないと判断しました。234第8 退職和解と労働保険・社会保険・税金◆ 和解における「解決金」について,会社の所得税等の控除が認められなかった裁判例

元のページ  ../index.html#56

このブックを見る