第2版 弁護士・社労士・税理士が書いた Q&A 労働事件と労働保険・社会保険・税金
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238第1 未払賃金と労働保険・社会保険・税金167条,厚生年金保険法84条)。◆ 社会保険料◆ 税 金です。そして,事業主は,雇用保険料の労働者負担分を,労働者に支払う賃金から控除することができます(労働保険徴収法32条)。したがって,減額分の賃金が支払われる際,被保険者負担率を乗じて得た額の雇用保険料が,賃金から控除されます。なお,会社は,前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付することになっています。この手続は,原則として例年6月1日から7月10日までの間に会社が行うことになっています。したがって,減額分の賃金が同一年度中に支払われた場合には,会社が修正申告をする必要はありません。事業主は,社会保険料(前月の標準報酬月額にかかるもの)の労働者負担分について,労働者に支払う報酬から控除することができます(健康保険法Q34,Q43で述べたとおり,社会保険料は,標準報酬月額に基づいて計算されますので,1か月分の賃金が減額された場合でも,減額されなかった月と同額の社会保険料が先月の給料から控除されています。したがって,減額分の賃金から新たに社会保険料が控除されることはありません。ただし,未払賃金が支払われたことによって,標準報酬月額の定時決定ないし随時改定により(Q34参照),社会保険料が改定されることになった場合には,別途注意が必要です。Q15,Q47で述べた算出方法に基づいて,減額された賃金から所得税が控除されます。

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