第2版 弁護士・社労士・税理士が書いた Q&A 労働事件と労働保険・社会保険・税金
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406和解条項例なります。しかし,実際には復職にあたって,使用者又は労働者に準備期間が必要となることがあります。いつから就労を開始するのかを明確に定めておきましょう。なお,復職に当たってトラブルを避けるため,以下の例のように労働条件等を定めることもあります。(例)□2 原告は,2020年7月1日から,被告経理課所属の従業員(役職なし)として,従前と同様の労働条件で,経理業務に従事するものとする。◆第3項 未払賃金の支払い(社会保険・税金の控除)解雇期間中に支払われるべきであった賃金の総額をまず確認します。解雇日の翌日から復職日の前日までの期間が対象となります。賞与の支給がある場合には賞与の支給を求めましょう。次に,社会保険料の労働者負担分及び税金は賃金から控除することができます。使用者は賃金と社会保険料等の徴収を簡便にするため,また労働者はこれらを納めたことを明らかにするために,対象となる社会保険及び税金の範囲を明記しておきましょう。賃金から控除する金額を事前に確認して支払額を確定しておくことにより,仮に和解条項違反(不払い)があった場合に強制執行することが可能となります。なお,労働者が40歳以上の場合には介護保険料も徴収する必要がありますので忘れないようにしましょう。ただし,和解成立前には,社会保険料及び税金の額が明らかでないとして,以下の例のような書き方で決めておくことがあります。この条項では確定金額の表示がなく,強制執行はできないですが,やむを得ない場合もあるでしょう。

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