iii第2版 はしがき2014年末の初版発行から2年が経った頃,改訂版の打診をいただき,それを受けて,再度改訂版検討チームとして勉強会を立ち上げたのが,2017年2月でした。それから3年余。検討を重ねるうちに,労働関連法や民法の改正という大きな変動が生じ,順次施行されていく情勢を迎えました。発行時点での法改正を反映させた第2版を,ここに発刊することができ,大きな荷物を肩から下ろした思いです。なお,第2版には初版から心がけてきた特徴をそのままに,さらに執筆範囲を拡大させています。初版からの特徴として,「根拠を明示する」ことを徹底しています。その取扱いの根拠が,法律(その委任を受けた施行令・施行規則等)にあるのか,行政通達類なのか,ということです。弁護士としては,取扱いが不合理であれば改善させることを考えます。法律に根拠があるなら,法律解釈について裁判所で闘う。解釈に限界があれば,法改正運動を起こす。行政通達類であれば,行政裁量の逸脱・濫用を問うため行政訴訟や国家賠償請求訴訟を検討する。そのために,「どこに根拠があるのか」が重要だと考えました。さらに第2版の本書では,情報の更新に加え,応用編を大幅に加筆しました。労働災害に関する記述を拡充したほか,新たに非正規雇用(有期・短時間・派遣),高齢者,障害者,外国人の各章を設けたのです。各設問同士の連携を「参照」で示し,また用語索引を設けましたので,初版より相当分厚いものになりましたが,使いやすくなっていると自負しています。今後,「柔軟な働き方」の名の下,兼業,副業,また労働契約という名を付けない労働形態(業務委託やいわゆるフリーランス等)が増加していくことが見込まれます。その点に関する保険や税金の対応は未だ流動的で,コラムでの示唆に留まりました。本書が現状の最新情報を伝えるものとして,広く実務に携わる方に利用し第2版 はしがき
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