vはしがき著者を代表して 弁護士 大橋 さゆり 本書の企画は,私たち弁護士が労働事件を取り扱う中で,当面給料が得られない状態になってしまった人にどうアドバイスできるのか,という疑問から始まりました。弁護士が法律相談を受け,労働事件を受任するとき,使用者との間の労働契約上の権利義務関係の解決が本来業務ですが,労働保険(雇用保険・労災保険),社会保険(健康保険・厚生年金保険)および税金についての実務的な知識には疎いのが実情です。しかし,労働者は毎月の給料から保険・年金が天引されています。これがこういうときに使えるはずではないのか,と気になることでしょう。それを的確にアドバイスして差し上げたい。そういう思いが,企画を進める原動力でした。使用者側で業務をする弁護士からしましても,労働者とのトラブルが生じたとき,とりあえず利用できる保険・年金制度の案内をしておくのは,その後の労働者との冷静な協議と解決への余裕を与えてくれる効果を生じるものと思います。労働局等の各機関に照会しながら,なるべく実務の詳細に沿った記述になるように心がけましたので,実務家の皆さんの判断の助けになるものと自負しております。最後に,弁護士及び税理士の分担執筆のスピードを保つよう,企画・編集に多大な労力を尽くしてくださった日本加除出版株式会社の盛田大祐さんには本当にお世話になりました。感謝いたします。 平成26年12月はしがき
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