7_借信
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契約解除後に行われた前記両会社の合併の事実に拘泥したものか,右合併以前における被上告会社の本件土地の使用関係から見れば合併による借地権の承継の場合と径庭がなく賃貸人に特段の不利益を及ぼしたものとは考えられないとなし,前記のような本件土地賃借権の無断譲渡があっても賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるから民法612条の解除権は行使できないとして,上告人らの主張を排斥したのは,合併による借地権の承継が民法612条にいう譲渡にあたるかどうかの点についての判断はしばらく措くとしても,結局,原判決には法令の解釈適用を誤った違法があるといわなければならない。」裁判例4【参考判例】土地賃借権の無断転貸と権利の濫用 「論旨は,被上告人の無断転貸を理由とする本件賃貸借の解除をもって権利の濫用といえないとした原審の判断は民法第1条の適用を誤った違法があるという。 しかし,所論の点に関する原判決の認定の事情のもとにおいて,原判決が本件賃貸借の解除を権利の濫用に当らないとした判断は,当審も正当として是認することができる。 原判決には,所論のような違法はなく,論旨は,結局,原判決の認定しない事実を前提としてこれを非難するか,または,独自の見解に立って,原判決を非難するものであって,採るを得ない。 同第2点について。 原判決が適法に判示するところによると,本件土地は被上告人の所有であって,上告人らは本件各建物を本件土地上に所有,占有しているところ,上告人らが訴外Tとの間で締結した本件土地の各転貸借契約は,同訴外人の無断転貸によるものであって,これを被上告人に対し対抗することができないのみならず,被上告人と同訴外人間の賃貸借契約も適法に解除されたというのであるから,被上告人が,本件土地の所有権に基づいて,上告人らに対しそれぞれ本件各建物収去土地明渡を請求し得ることは明らかである。」【参考判例】‌‌借地上の建物が第三者の所有に属したときは,土地賃借権は消滅裁判例5 「論旨は,賃借土地上の建物その他の付属物が第三者の所有に属したときは賃借権は当然に消滅する旨の特約が,借地法11条に違反しないとした原判決は同法条の解釈適用を誤ったものであるという。 しかし,賃借地上の建物の所有権が第三者に移転したときは,特段の事情のないかぎり,これに伴って右土地につき賃借権の譲渡もしくは転貸がなされたものと認めるべきであり,賃借権の無断譲渡もしくは賃借地の無断転貸がなされたときは,賃貸人は,賃借人の右行為が賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合にかぎり,賃貸人は右無断転貸最判昭和40年1月12日(裁判集民77号11頁)最判昭和40年6月4日(裁判集民79号323頁)1 土地賃借権の無断転貸・無断譲渡等/(1)解除を肯定した事例 5第1無無断断転譲貸渡するとの特約は,借地法11条に違反しない。

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