Q1 デジタル証拠とは何か2る情報で、法廷において依拠され得るもの」と定義しています。 そこで、本書では、デジタルデータによって組成された証拠を「デジタル証拠」と定義し、いろいろな法的な問題を検討していくことにします。このような「デジタル証拠」の検討が必要な理由としては、大きく3点が挙げられます。第1に、21世紀以降の情報化社会の加速度的な発展によって企業や個人の活動に伴う各種情報がデジタルデータの形で膨大に生成・流通、蓄積されるようになり、必然的に証拠として取り扱われる場面が増えたこと(☞Q3参照)、第2に、そうしたデジタルデータは証拠として利用する場合、紙の文書のような従来の証拠とは全く異なる特性、特徴を有していること(☞Q2参照)、第3に、その結果、証拠による事実認定が主要な役割を占める司法の働きも変わりつつあり、あるいは変わらなければならない局面に来ていることです。実際に、日本国内においても、近時、デジタル証拠の問題点が浮き彫りとなるような事件が連続しており、大きな話題となっています(☞Q4参照)。 本書でいう「デジタル証拠」の代表的なものとしては、デジタルデータ化された文書や電子メール、SNSの情報、写真、録音データが挙げられます。しかし、現代社会においては、人が自発的に作成するデータだけではなく、コンピュータや各種の電子機器を介して、様々な情報が蓄積されています。例えば、コンピュータやネットにアクセスした記録(ログ)や、スマートフォンによって記録される移動記録、買い物をした場合に記録される取引履歴、さらには、今後は家電製品等も電子化されインターネットに接続されて管理されることが予想されますので、そうした機器の情報もデジタルデータとして生成・蓄積されることになります。したがって、近い将来、こうしたデータも証拠として取り扱われるようになることが予想されます。 「デジタル証拠」の「デジタル」とは何でしょうか。「デジタル」とは、連続的な物理量である「アナログ」に対比する概念であり、連続した物理2 デジタルとは何か
元のページ ../index.html#26